■便秘解消に役立つ食材は

 いくら食費を節約しても、医者にかかったり薬を飲んだりすることになっては、元も子もない。とはいえ、先立つものがなければ、食生活の改善は難しい。あまり食費を増やさずに便秘を解消するには、どうすればいいのか。

「手頃な値段のものでも、食物繊維が多いものはあります。一番良いのはキクラゲや、シイタケなどのキノコ類です。他にも海藻、大豆や切り干し大根、エシャロットやニンニクも食物繊維が多いです」

 自炊の際にこれらの食材を使う、もしくは外食や弁当を選ぶ際に、これらが入っているか注目してみるといいだろう。

 さらに、腸内環境を整えてくれる発酵食品も欠かせない。

「納豆の効果はピカイチです。大豆には腸内のビフィズス菌を増やすオリゴ糖が豊富ですし、納豆菌も腸内環境を整える上で非常に良い働きをしてくれます。発酵食品では、リンゴ酢もおすすめです。奄美大島で百歳長寿の人たちの食生活を聞いたら、リンゴ酢を飲んでいるとおっしゃっていました。リンゴはペクチンという食物繊維の多い果物ですから、健康に良い果物として考えて良いでしょう」(同)

 今の食生活をいきなり変えられないという人は、まずは一品を加えることから始めてみるといい。

「海藻もおすすめです。コンビニでも手に入る小分けパックのもずくやメカブを上手く使うと良いでしょう。外食では野菜サラダをつけてください。できたら海藻も乗っているような野菜サラダをまず食べてから、次の食事に入るような習慣を身につける。今食べているものに、こうしたものを一品足すだけでも効果があります」

 便秘が解消され始めたとしても、そこで満足してはいけない。さらなる健康を目指すためにも、健康的な便の基準を知っておこう。

「トイレに行った時に大事なのは、便座に座るとストンと気持ちよく出る便です。便は80%が水分、20%が固形成分なので、便器の水に浮くようなものがベストです。あまり臭いがなく、色は黄色から黄褐色。重さは男性で300グラム前後、女性では200〜250グラム前後なら健康的な便の証拠です。排便前後で体重を測れば、重さを知ることができます」

 食費を削るつもりが、健康まで削ってしまっては本末転倒だ。物価高の時代こそ、財布だけでなく腸にも優しい食事を心がけたい。

辨野 義己(べんの・よしみ)
辨野腸内フローラ研究所理事長 理化学研究所名誉研究員
酪農学園大学獣医学科卒、東京農工大学大学院獣医学専攻をへて理化学研究所へ。同研究所バイオリソースセンター微生物材料開発室長、同研究所辨野特別研究室特別招聘研究員などを歴任。半世紀にわたって腸内細菌の分類と生態の研究に取り組んでいる。「『腸内細菌』が健康寿命を決める」(集英社インターナショナル)、「大便力」(朝日新聞出版)、「大便通」「大便革命」(幻冬舎新書)、「長寿菌まで育てる最高の腸活」(宝島社)など著書多数。