■第5話に隠された重大シーン

 事実、秦野は1995年の田鎖家の事件を知っていた。今のところ、両親殺害には五十嵐組の関与が疑われている。市役所職員の秦野を五十嵐組の組員と見るのは無理があるだろう。とはいえ、連絡手段に「テレシーク」を用いるのは犯罪組織さながらの行動だ。また、辛島家で映し出されたふみ(仙道)と茂木(山中)の会話から、二人も“先生”こと秦野と面識があることが判明。

 では一体、秦野は事件とどのような関わりがあるのか。第5話、第6話の殺人犯は、まずは被害者という立場で秦野と関わりを持つ。加害者に対する報復が秦野の出発点だとすれば、田鎖夫婦殺害にも、何か発端があるのではないか。

《これは絶対あとから伏線になるだろうから、ちゃんと覚えておこう》

 ある視聴者が、この発言とともに第5話のあるシーンを投稿した。それは、95年に起きた発砲事件を報じた新聞の切り抜きだ。田鎖家近くの畳店店主が死亡し、31年経った現在も犯人は捕まっていない。もし、この犯人が父・朔太郎(和田)だったとしたら──田鎖夫婦は、その報復として殺された可能性がある。

 現在、畳店はマンションに姿を変え、遺族の行方はわかっていない。秦野は、この畳店の娘だったのではないか。

《先生は人を操るのがうまいよね。誰かを操って殺させたんじゃない?》

 と、ある視聴者は指摘する。ラストシーンは、警察に証拠を掴まれた犯人が都合よくビルから転落死する。まるで、秦野の人心掌握術を示すかのようだ。

 第7話の公式映像では、秦野の洗脳によって変化する真(岡田)の姿が映し出される。ビルから転落した犯人が死亡したのは他殺だと指摘する稔(染谷)に対し、真は自殺だと言って取り合わない。

 小池俊太(岸谷五朗/61)は、足利晴子(井川遥/49)に田鎖兄弟への協力を止めるように詰め寄る。ふみ(仙道)は、茂木(山中)に証拠のありかを問う。これまで犯人候補に名が上がった人物たちが動き出し、それぞれの思惑が交錯し始める。真相解明に向け、今後さらに考察欲が刺激されることは間違いないだろう。

ドラマライター・ジュン
幼少期から映画を観ることが好きで、物語そのものの面白さはもちろん、「この作品はどうやって作られているのか」という裏側にも強く惹かれてきた。過去にはドラマや映画のロケーションコーディネーターとして現場に携わり、ロケ地選びや撮影準備などを通して、作品作りのリアルを肌で学んだ。そうした経験を重ねるなかで、俳優の芝居、演出、脚本、美術といったさまざまな要素が積み重なり、ひとつの映像作品として立ち上がっていく瞬間に、ますます心を奪われるように。いまは旬のドラマや映画を欠かさずチェックしつつ、張り巡らされた伏線や演出意図を読み解きながら、物語の核心やその先の展開に思いを巡らせる時間を何より楽しみにしている。