■影響ある人の宣伝により、“誤った認識”が拡散されてしまう可能性
また、前出の稲葉氏はオンライン処方により「マンジャロ」を入手した場合にも副作用の懸念はついてまわるという。
「オンライン診療そのものが“悪”というわけではありません。かかりつけ医でオンライン診療を活用することもあると思います。
ただ、薬を処方するだけが目的のようなオンライン診療ですと、ビジネスが目的となってしまい十分な問診が行なわれなかったり、服用後の相談に親身にのってくれなかったりするなど、適切なフォローがなされないこともあります。副作用の可能性がある場合に、オンライン処方した先生がみてくれるわけではなく、自分で医療機関を受診することになります」(稲葉可奈子氏=以下同)
ゆいぴすが広告を担うオンライン処方サービスのホームページには、《※医師の診察を受けたうえで処方可否が決まります》との注意書きもあるが──。今回、炎上した背景には何があると考えられるか。
「医療関連の発信に著名人がかかわること自体が問題というわけではありません。エビデンスが確立されている重要な医療啓発(がん検診や予防接種など)に影響力がある人がかかわることは公衆衛生上も意義のあることです。
今回の件は、医学的に問題があるサービスを、影響力のある人が宣伝しているため、誤った認識が拡散されてしまう可能性があり、医療従事者をはじめとする多くの懸念が寄せられているものと思われます」
ゆいぴすはXで《医者でなければ医薬品に関わってはいけないのですか?》と発信していたが、医師以外の人間が医薬品に関わることについては、
「まず、医師かどうかにかかわらず、医師の処方箋が必要な『医療用医薬品』の一般向け広告は、医薬品医療機器等法(薬機法)により禁止されています。
広告にかかわらず、医薬品の開発、製造、流通には、医者以外の多くの業種の人がかかわっています。医者でない人が医療の啓発にかかわることもあります。ですが、今回のようなインフルエンサーの方は医療の専門家ではありませんので、専門的判断が難しい場合もあって当然です。医療に関する情報発信は人の健康にかかわることですので、影響力が大きいだけに、多くの医療関係者の意見を参考にしていただくのが賢明かと思います」
インフルエンサーは“責任”をとってくれない――。
稲葉可奈子/Inaba Clinic 院長
産婦人科専門医・医学博士
京都大学医学部卒業、東京大学大学院にて医学博士号を取得。
みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト 代表 / みんリプ!みんなで知ろうSRHR 共同代表/ メディカルフェムテックコンソーシアム 副代表
フジニュースα公式コメンテーター / Yahoo!エキスパート / NewsPicksプロピッカー