2年前に夫婦そろって60歳を迎え、大学卒業後から務めてきた一般企業を定年退職したという三戸健吾さん(62・仮名)と貴子さん(62・仮名)。お互い60歳まで仕事を続けたため、誕生月に送られてくるねんきん定期便によれば、夫婦が65歳から受け取れる年金額は月額およそ33万円だ。これまで必死に働いてきた夫妻はこの見込み額に大喜び。しかし、実際に年金の支給が始まることになった3年後、夫妻は頭を抱えることになる。長年共働きだったため、一般的な家庭と比べると裕福な老後生活を送れるはずだった三戸夫妻になにが起きたのか。今回は三戸夫妻のケースをお金の専門家とともに検証する。

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「ウチは大丈夫だと思っていたのに…」

 こう漏らすのは都内の賃貸マンションで暮らす三戸さん夫妻。健吾さんの腕には、人気映画『007』シリーズの主人公ジェームズ・ボンドも着用するオメガが光り、妻である貴子さんの胸元では世界5大ジュエリーとして知られるヴァン クリーフ&アーペルのアルハンブラが輝いている。

 2人の間には子どもはおらず、自分たちの老後の生活費以外に必要な支出もない。日常の移動手段は健吾さんが退職を機に新車で購入したトヨタの『クラウン』だという夫妻は、なぜお金の悩みを抱えることになったのか──。

 5月11日に人材紹介サービスHajimariが発表した20代~60代の男女・500人を対象とした「共働き夫婦のお金事情」によれば、お互いの資産状況を「知らない」とした人は47%だった。家計管理の方法についても「共通口座に一定額を入れ、それ以外は各自のお小遣い」が最多となる29%、次いで「項目別に支払う人を決めている」が26%、「共通口座に全収入を入れ、定額をお小遣いとしている」の17%が続いた。

 この調査結果を「まさに我が家も同じです」とばかりに首肯する健吾さん。

「全国転勤の可能性があったので長年、文京区にある2LDKの賃貸マンションで暮らしてきました。ここの家賃が管理費込みで月に23万円。これと毎月の食費と光熱費にかかる費用10万円を共通の口座に入れ、残りは自分たちのお小遣いとして生活してきました」