■夫婦間のお金の話はどこから始めるべき?【CFPの解説】
──共働きの夫婦の場合、金銭的に余裕があるケースが多いためお金に関する話し合いを家庭でできていないことも多いと思います。家庭でお金に関する話し合いをする場合、どのような点から話すのが良いのでしょうか。
共働き夫婦が家計の話し合いを始めるときは、いきなり「節約するべき」「投資した方がいい」と結論から入るのではなく、まず家計の全体像を数字で共有することが大切です。具体的には、毎月の収入と支出、預貯金や退職金の残高、保険の内容、住宅費や車関連費など固定費の水準を一覧にすることから始めるとよいでしょう。
共働き世帯は、それぞれに収入がある分、「自分のお金」と「家のお金」が曖昧なまま長年過ごしてしまうことが少なくありません。そのため、話し合いの第一歩は価値観のすり合わせよりも、現状の見える化です。
さらに老後は、現在の家計だけでなく、「どちらかが亡くなった後に収入がどう変わるか」まで含めて確認しておく必要があります。公的年金は65歳以降、老齢基礎年金と遺族厚生年金を併せて受けられる場合もありますが、現役時代のように二人分の収入がそのまま維持されるわけではありません。だからこそ、夫婦でお金の話をするときは、まず資産・負債・毎月の支出・将来の収入減少リスクを整理し、「今の暮らし」と「一人になった後の暮らし」の両方を想定して話すことが重要です。
──夫妻は現在、生活に必要なお金を2人の年金でなんとか賄えている状況です。一方で、どちらかが亡くなった場合年金受給額も減ってしまうため現在の生活を維持するのは難しくなります。手元に残っている退職金を将来に備えて投資に回し資産を増やした方が良いのでしょうか。資産を増やすのであればオススメの投資法などはありますか。
夫妻のように、年金で日常生活費はほぼ回るけれど、医療・介護・住み替え費用への備えが薄いご家庭は、まず流動性を確保することが最優先です。特に介護施設への入居費用は地域差が大きく、東京都では高額になりやすいため、手元資金を減らし過ぎるのは危険です。
まず必要なのは、生活予備費と突発的な支出に備える資金を安全性の高い預貯金などでしっかり確保することです。5年以内に使うかもしれないお金は、元本変動の小さい個人向け国債や預金中心。10年以上使う予定のないお金で、ここだけをNISAなどで低コストの投資信託に回すイメージです。
商品でいえば、60代からは“増やすこと”より“減らしにくくすること”を重視した方がいいです。たとえば、NISAを使うとしても、個別株に大きく賭けるより、全世界株式や内外債券を含む低コストの分散型投信を少額ずつ買うやり方の方が現実的です。退職金を一括投入するより、毎月や数か月ごとに分けて入れるほうが、価格変動リスクも平準化しやすいです。
【記事後編】では、老後に頼る人も少なくない有料老人ホームの入居に必要となる資金が都内では1000万円を超えている現状、さらには代替え策となり得る選択肢をCFP宮岡秀峰氏が解説する。《【記事後編】はこちらから》
宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。
税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/