■車やジュエリーにお金をつぎ込み…

 子どもがいなかった三戸夫妻。現役時代・健吾さんは部長にまで昇進し、最高800万円超の年収を稼ぎ出し、妻である貴子さんも金融機関で一般職として600万円以上の収入を得ていたこともあるという。多いときは世帯年収が1500万円を超えていたというのだから十分すぎるほどの“勝ち組夫妻”だ

「自由に使えるお金が多かったため、私は時計や車、妻は旅行やアクセサリーにお金を使っていました。ランチも会社の近くで1回1000円超えは当たり前。大した貯金もせずに振り込まれた給料は全額使っていましたから。今、振り返れば贅沢に慣れ過ぎたんだと思います」

 お金に大して困ったことはなかったため、夫婦で「お金の話はしてこなかった」という三戸夫妻。現にHajimariが行なった調査でも37%の人が夫婦間でお金の話が「できていない」という。

 健吾さんが話す。

「退職時には夫妻で合計すると2000万円の退職金を受け取りましたが、車の購入や2人の貯金では足りない生活費を補填していたらもう1000万円は使ってしまいました。NISA? 当然、やっていません。だって、老後2000万円問題は退職金で解決できると思っていましたから」

 夫妻の生活に必要となる家賃と食費、光熱費はなんとか毎月の年金で賄えるものの、どちらかが大病を患ったりした際に頼りとなるのは、夫妻が退職時に受け取った退職金の残りとなる1000万円だけである。

 老人ホームや介護施設の検索サイト「ライフル介護」を運営するライフルシニアが昨年11月に公表した資料によれば、東京都の有料老人ホームの入居時に必要となる費用は平均して1008万円だ。この数字を聞いた健吾さんが嘆く。

「このままでは明らかにお金が足りていません。身寄りもないのに今後どう暮らせばよいのか……」

 勝ち組夫婦だったはずが一転、今後は生活苦に陥りそうな三戸夫妻。生活を立て直す術はあるのか。老後の生活とお金の関係を税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。