武田鉄矢が、心を動かされた一冊を取り上げ、“武田流解釈”をふんだんに交えながら書籍から得た知見や感動を語り下ろす。まるで魚を三枚におろすように、本質を丁寧にさばいていく。
時は1967年、日本のマンガ業界に革命的な雑誌が登場します。それが、青年向けマンガ雑誌『漫画アクション』。
この画期的な雑誌を世に送り出したのは双葉社。
「少年マガジンとか少年サンデーがあるなら、成人向けの青年マガジンを作ろう」
こうして双葉社が社運を賭けてスタートさせたのが『週刊漫画アクション』。
今回の参考文献『世界はなぜ日本カルチャーに熱狂するのか』(NHK出版)にも載っておりますが、私も、ここはあえて名前を挙げさせていただきます。
双葉社の『アクション』編集部の堤任(つつみ・ひとし)は岩波・新潮・文春・筑摩といった文学系トップ出版社を受験するも、ことごとく落ちた。文学に志を立てようとしてかなわなかった堤は、「『文学』を『漫画』で大衆化する」との野望を抱く編集長・清水文人のもとで、その悔しさをエネルギーに変えた。「漫画アクションで天下を獲ってやる!」とばかりに、文学の香りのするマンガ作品を次々に生み出していった。
モンキー・パンチには『ルパン三世』を。劇作家の小池一夫は漫画家の小島剛夕と組ませて、もの凄く深い時代劇漫画『子連れ狼』を作る。
シャレっ気たっぷりのルパン三世は若者たちの間で大人気となり、子連れ狼に至っては子供を抱えたホステスさんたちの愛読書となった。子供を乳母車に乗せて冥府魔道に生きる子連れ狼の生きざまは、シングルマザーのホステスさんたちを凄く勇気づけ、励ましたという。
私も覚えているけど、『漫画アクション』のあの緊張感はもの凄かった。後に映画になった『同棲時代』なんて、マンガなのに男女のポエムだもの。だから、『神田川』なんていう名曲ができたんですよ。
『アクション』は好きだったけど、モンキー・パンチは好きじゃなかったなあ。女の人がイヤラしいんでムラムラ来ちゃって……(笑)。
さて、この双葉社の英断を持って、時代を画する大運動が起きます。双葉社の成功を横目に見たのが、小学館。負けるもんかで『ビッグコミック』を出す。