■勤続年数に応じて所得控除額が大きくなる退職金
それもそのはず。退職金は勤続年数に応じて所得控除額が決まる仕組みだからだ。藤田さんのように大学卒業から定年となる60歳までの38年間を同じ会社で勤めた場合、現行の税制度では2060万円が非課税となる。つまり、従来の給与制度であれば藤田さんが受け取ることができた2000万円の退職金は全額税金がかからなかったのだ。
しかし、制度の変更によりその内600万円が毎月の給与へ転化されてしまった。藤田さんが毎月受け取る額面の給料こそ増えるが、当然ここからは社会保険料や所得税、住民税が差し引かれる。
本来であれば丸々受け取ることができたはずの600万円が会社の都合で課税対象となってしまったのだ。
近年、様々な企業が導入を始めた退職一時金制度の廃止。藤田さんが働く企業のような制度がいつ各社で導入されてもおかしくない。この状況に労働者はどのように備えるべきなのか――。
税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。