■老後に必要となる資金の目安を【CFPが解説】
──退職一時金制度の廃止を導入する企業が増えています。この制度の導入により大幅に退職金が減額される会社員も少なくありません。こうした事態を受けて、退職金以外にも老後の暮らしに必要となるお金を備えておく必要があるのでしょうか。また、老後に向けて必要となる金額の目安はありますか。
これからは「退職金がある前提」で老後設計を組むのは危険で、公的年金+自助資金+働ける間の就労収入の3本柱で考えるべきです。
特に、退職一時金は税制上かなり優遇されており、勤続38年なら退職所得控除は2060万円となるため、2000万円の退職金なら原則として退職所得課税が生じない設計もあり得ます。これが毎月給与へ振り替わると、所得税・住民税・社会保険料の対象になり、同じ600万円でも手取りは目減りします。
老後資金の目安は、まず「年金で足りない毎月の赤字額」から逆算します。
総務省の2025年家計調査では、65歳以上の夫婦のみの無職世帯で、可処分所得が22万1544円、消費支出が26万3979円でした。平均的には毎月4万円強の持ち出しです。
これが20年続けば約1000万円、25年なら約1200万円規模になります。もちろん持ち家か賃貸か、医療費、介護費、子ども支援の有無で必要額は大きく変わるので、統計は出発点にすぎません。大事なのは、退職金が減っても生活が回る設計に組み替えることです。
【記事後編】では老後資金を準備するために、NISAやiDeCoといった投資制度をどのように活用するのかを宮岡秀峰氏が解説する。《【後編】はこちらから》
宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。
税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/