■「住まいの終活」の方法を【CFPが解説】
──老後を迎え自宅を子どもが継ぐなどの予定がない場合、無理に修繕を行う必要はないのでしょうか。
子どもが自宅を引き継ぐ予定がない場合、資産価値維持だけを目的とした全面的なリフォームを無理に行う必要はありません。ただし、「何もしない」という判断が適切というわけでもありません。
重要なのは、「自分たちが安全に住み続けるための修繕」と「住まいの終活」を切り分けて考えることです。具体的には、雨漏りや給排水設備の老朽化、浴室や断熱性能の改善、転倒防止や段差解消といった生活の安全性・健康に直結する工事は優先度が高い一方、外観の美化や大規模な内装刷新など、回収可能性の低い投資は慎重な判断で十分です。
あわせて、将来的に売却するのか、相続人に処分を委ねるのか、あるいは解体も含めた選択を取るのかを元気なうちに整理し、権利関係や修繕履歴、本人の希望を明確に記録・共有しておくことが重要です。国土交通省が公表する「住まいのエンディングノート」も有効なツールの一つです。
老後の住まいは単なる資産ではなく終活の対象でもあり、修繕の判断軸は「次世代に残すか」ではなく「自分に必要か」で考えるべきでしょう。
【記事前編】では、自宅のリフォームの目安となる時期や修繕費用の計画的な積み立て方を宮岡秀峰氏が解説する。《【前編】はこちらから》
宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。
税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/