■生活コストは100万円以上もダウン
こう嘆く中村さんだが、地方に移住したことで生活に必要となるコストは格段に下がったという。
「都内では1LDKの部屋を借りるのに12万円もの家賃を支払っていましたが、この費用は大幅にダウン。50平米の部屋を7万円で借りることができ快適です。外食代も地方の方が安いので、飲んでもお会計は3000円台で済んでいます。まあ、そんなに食べられなくなってきているんですが」
一方でこんな悩みも浮上している。
「小学生以来、東京を離れたことがなかったんです。そのため、友人も東京に住んでいる人ばかり。ですので、昨年はなんだかんだで2か月に1度は東京に出かけていましたね」
1度東京へ出かけると滞在期間はおよそ1週間、移動費用はLCCを使えば往復で1万5000円ほどだ。全国展開しているビジネスホテルに滞在すれば宿泊費は1泊1万円弱。年間で東京滞在のために必要となる費用はおよそ60万円だ。金銭的に大きな負担を強いられているわけではない。
「それでも東京を離れるたびに切ない気持ちが抑えられなくって……。友人にも“東京に戻ってきたら”って誘われるたびに心が揺れ動いて……」
現在、中村さんが年間に必要となる生活費は200万円ほど。しかし、これは生活コストの低い地方都市だからこそ成り立っている。中村さんが話す。
「再び東京で1人暮らしをするなら今より100万円以上、生活費が上がることを覚悟する必要がある。この歳で転職活動をしたとて、以前働いていたような会社に就職できる保証はどこにもない。それならこのまま地方で暮らし続ける方が賢い気もするんです……」
夢のFIRE生活を実現したのも束の間。わずか2年で再び、東京へ戻ろうかと逡巡している中村さん。退職後の地方都市での暮らしの現実を税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。