地上波GP帯(午後7時~11時)の人気ドラマといえば、刺激的な謎の伏線を張って、考察を煽るミステリーが主流になっている。そんな中、あっと驚く展開のない、地味めな3つの春ドラマが高評価を集めた。その支持の理由を探ってみよう。

 まず、波瑠(34)と麻生久美子(47)がダブル主演した『月夜行路-答えは名作の中に-』(日本テレビ系・水曜よる10時~)は、秋吉理香子氏の小説『月夜行路』シリーズ(講談社)が原作で、専業主婦・沢辻涼子(麻生)と文学オタクで洞察力に優れたバーのママ・ルナ(波瑠)が、夏目漱石、太宰治といった文学の知識を生かしながら、事件の真相を紐解いていく物語。

 本作は「文学ロードミステリー」をうたっているが、ミステリー要素はさほど凝ったものではない。謎解きは丁寧に作られているものの、驚くようなどんでん返しはなく、むしろ、キレイなオチで心地よくする内容となっている。しかも1話完結で考察の余地はなし。それでも、TVerのお気に入り登録数は春ドラマ1位(シリーズものを除く)と、数字は好調だった。

 支持されたのは、なによりも安心感だろう。ルナのバー「マーキームーン」でワイワイやっていると、事件が起こり、刑事・田村(栁俊太郎/35)と元刑事・小湊(渋川清彦/51)が都合良く機能し、涼子がルナの推理に必要なスイーツを差し出すナイスアシストという流れ。意外性やどんでん返しはないが、その代わりに安心感があり、それが本作の魅力になっているのだ。

 また、内容と合わせて、ルナと涼子の絶妙なシスターフッドも魅力で、《文学で謎を解き心を潤すルナ。波瑠の気品と美しさに参ってる》《冴えない主婦だった涼子さんがすごく視野が広くなって柔軟性に富んだ素敵な女性になってる》などと、2人への称賛の声が多い。惨敗が続いた日本テレビの水曜枠だが、本作は視聴率、配信ともに数字は好調。安心できる内容とシスターフッドは、今後、ヒットドラマのキーになるかもしれない。