■地に足のついた『時すでにおスシ!』

 続いて、永作博美(55)主演で松山ケンイチ(41)共演の『時すでにおスシ!?』(TBS系・火曜よる10時~)は、14年前に夫を事故で亡くして以来、息子のために生きてきた待山みなと(永作)が、子育て卒業という大きなひと区切りを迎え、ひょんなことから3か月で鮨職人になれるという「鮨アカデミー」に入学したことから始まる物語。

 50代女性の人生の再出発を描き、「人生応援ドラマ」をうたう本作。考察要素もなく、恋愛メインでもない、ささやかな日常を大事に生きている人たちの姿を描くという、正直言ってテーマ自体は地味だが、視聴者から厚い支持を集めた。魅力はなによりも、人と人とのリアルな距離感と交流を描いたところだ。

 みなとと鮨アカデミーの講師・大江戸(松山)との、大人の恋愛要素も描かれているのだが、そもそも大人の恋愛には、パートナーや子どもとの関係、さらに互いの過去など、素直に飛び込めない事情が多い。そこを本作では、息子・渚(中沢元紀/26)との関係、さらに、みなとと大江戸の過去も、じっくり丁寧に描いてきた。

 一方で、みなとと大江戸がわかりやすく結ばれることはなく、卒業後、クラスメイトたちがそれぞれの進路へ進むなか、大江戸が開店した自身の店に、みなとを従業員として誘うというコミカルなラストで、適度な距離感を保った大人の関係に落ち着いた。そんな、夢のような恋愛ではなく、地に足のついた関係を描いたのが、本作が支持された理由だろう。