■脚本の力が光る『銀河の一票』
そして、黒木華(36)主演で野呂佳代(42)共演の『銀河の一票』(カンテレ制作・フジテレビ系・月曜よる10時~)だ。本作は与党幹事長の娘で元秘書・茉莉(まつり、黒木)が、偶然出会った政治素人であるスナック「とし子」のママ・あかり(野呂)とタッグを組み、東京都知事を目指して奮闘する50日間を描く選挙エンターテインメント。
地味というより、社会問題を扱った、一見、とっつきにくい内容の本作。しかし、配信サービス・TVerのお気に入り登録数の伸びが、ほかの春ドラマが止まっているなか、終盤もじわじわ数字を伸ばし続けている。黒木と野呂という演技技巧者の力も大きいがが、なにより、蛭田直美氏の脚本の巧みさにある。
まずは一つのテーマに注力せず、社会的弱者をめぐる状況を幅広く描いているため、多くの人に届きやすい。さらに、それらの問題を「提起するまで」にとどめているので説教臭くはならず、そこから「それを解決するのが政治の役割なんだ」と見せる。それを黒木と野呂が演じるのだから、盛り上がらないわけがないだろう。
さらに、「きれいごとじゃない。キレイなことだよ」「上に立つじゃなく、前を歩く」など、パワーワードをしっかり仕込み、ドラマの求心力を高めている。同じカンテレ制作で佐野亜裕美プロデューサーが手掛けた、社会派の『エルピス-希望、あるいは災い-』はギャラクシー賞を受賞したが、本作も有力候補だろう。(ドラマライター・ヤマカワ)
ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。