■幕末の志士を通じて英国財閥が勢力拡大
そこで取引をしたのが、スコットランド出身の商人、トーマス・グラバーです。
龍馬たちは、グラバーが設立した、『グラバー商会』を通じて、西洋の最新鋭の小銃や大砲、軍艦などを調達し、それを薩摩藩や長州藩へ売ったんです。
こうした流れを見ると、「龍馬って、いったい誰の“実働部隊”だったの?」と、思ってしまいます。
さらに、当時は日本やアジア周辺で、英国の巨大財閥・ロスチャイルド家が勢力を拡大していました。清とのアヘン戦争によって莫大な富を得て、『香港上海銀行(HSBC)』を設立したんです。
そのロスチャイルド家とともに、HSBCの株主になったのが、ジャーディン・マセソン商会。グラバーを日本へ送り込んだ、大元の会社です。
「清の次は、日本だ」
そう考えた海外資本家によって動かされ、龍馬たち幕末の志士は、日本を戦争に導いてしまったのかもしれません。
以上が、私の龍馬観です。歴史は表舞台の英雄だけで動くものではないと、幕末史を読み返すたびに、そう考えてしまいます。
貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。