■少しでも被害を小さくするための備え
クマとの絶対に負けられない戦い。そんな中、最新鋭装備“クマ用プロテクター”が実戦投入された。防刃品メーカー・サクセスプランニング社長の桑原由香子氏は、開発秘話を明かす。
「大学の実験では、重たい振り子に弊社の生地を装着し、本物のクマの手の剥製に引っかけて耐久性を試しました。そんな検証を経たうえでクマの爪でも破れにくい生地で製作しました」
では、東京で最終防衛ラインとなるのはどこなのか。
「八王子にクマが出た以上、クマの移動可能距離を踏まえると、10~20キロほど離れた立川や福生に現れても不思議ではありません。
若い個体や子グマが市街地に慣れれば、人間の生活圏への抵抗感も薄れる。川沿いや道路沿いの都市部に出てくるリスクは、代替わりを経て、より高まるでしょう」(前同)
人口5万人を擁し、多摩川流域に面す武蔵野台地の要衝・福生市。同市の担当者も臨戦態勢だ。
「市内では、すでにイノシシの目撃情報も多摩川沿いで多く寄せられています。警察署や東京都、猟友会の助言を受けながら、クマ出没時の対策マニュアルの原案作成を進めています」(福生市環境政策課担当者)
前出の桑原氏は、慎重な姿勢を崩さない。
「プロテクターを着ていればクマと戦っても勝てる、というものではありません。少しでも被害を小さくするための備えです」
クマの侵攻は、もはや止められない──。
パンク町田(ぱんく・まちだ)
1968年8月10日生まれ。東京都出身。動物研究家。NPO法人生物行動進化研究センター理事長。最も好きな動物は犬。ムツゴロウさんこと畑正憲(はたまさのり)から「犬のことをもっと勉強しなさい」という言葉を励みにしている。犬の訓練士でもあり、愛玩犬のしつけ、猟犬、バンドッグ(護衛犬)、闘犬の訓練も行う。父が中華料理店を経営していた影響で当初は料理人を目指していたが、動物に関わる仕事を諦めきれずトリマーの専門学校に進学した。ペットショップ勤務ののち21歳で独立、爬虫類のバイヤーなどを務めた。1992年から動物の専門誌などで執筆活動を始めた。人気著書多数。