■超長期間ローン利用者急増の理由を【CFPが解説】

──35年以上の返済期間で住宅ローンを組む人が増加した理由をどのように考えていますか。

 最大の要因は「住宅価格の上昇」と「実質的な購買力の低下」の組み合わせです。特に都心ではマンション価格が1億円前後に達しており、従来の35年返済では毎月返済額が手取りの過半を占めるケースが増えています。金融機関は返済比率(年収に対する返済額)を重視するため、返済期間を延ばすことで月額返済を抑え、審査に通りやすくする設計になっています。

 また共働き世帯の増加により「現在の収入を前提に長期間返済する」という発想が広がった点も重要です。ただしこれは裏を返せば、将来の収入継続を前提にしている点にリスクがあります。さらに、低金利環境が長期化したことで「借入期間を延ばしても利息負担は許容できる」と考える層が増えたことも背景です。

 総じて、長期化は合理的な選択というより「価格上昇への適応策」として広がっているのが実態です。したがって、制度としては成立していても、家計の耐久性という観点では慎重な判断が求められます。

【記事後編】では超長期間での返済が前提となる50年ローンのメリットとデメリットや景気後退局面でマンション市場に起こり得る変化をCFP・宮岡秀峰氏が解説する。《【記事後編】はこちらから》

※税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格を持つ宮岡秀峰氏

宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。

税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/