最長35年の返済期間を目途に契約することが一般的な住宅ローン。そんな話はすでに過去のことなのかもしれない。住宅情報サイト『SUUMO』を運営するリクルートが首都圏新築マンション購入者を対象に調査したところ、2025年は住宅ローン返済期間36年以上の契約者が全体の32.6%に急増、約3人に1人が選択している形だ。一方で1年前となる24年に返済期間36年以上の住宅ローンを選択した人は11.6%。大幅に増加しているのは明らかだ。

 今回は自分たちも返済期間35年を遥かに超える住宅ローンでのマンション購入を検討しているという20代の新井夫妻の返済計画をお金のプロと共に検証する。

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 新井浩さん(28・仮名)と妻の絵梨さん(27・仮名)は現在2人暮らし。共働きであることから若くして世帯年収は1000万円を超えている。そんな夫妻は現在、住宅探しを検討中。ところが、都内の住宅価格は右肩上がりの状況が続いていることから、夫妻も購入の決断を下せていないのが実情だ。

 事実、不動産調査会社の東京カンテイが発表した情報によれば、東京23区の今年4月の中古マンション平均希望売り出し価格は前月比2.4%高の1億2724万円(70平方メートルあたり)。都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)に限れば前月比0.5%高の1億8822万円だ。浩さんが話す。

「通勤利便性の高い都心6区にある築20年以内の物件であれば2LDKの中古マンションでも1億円超えは珍しくありません。同年代と比べれば世帯収入は多い方だと思いますが、なかなか購入を前向きには検討できないですよね……」

 現在、主要銀行の変動金利は1%ほど。1億円を35年返済で借りると月の返済額は28万円となる。
新井夫妻の現在の月収は額面で70万円ほど。そこから住民税や所得税、社会保険料が差し引かれ手元に残るお金は約55万円だという。住宅ローンの返済期間は通常の35年とすると月の手取りの半分以上がローンの返済で消えてしまうのだ。

 そこで夫妻が選択肢として視野に入れているのが返済期間36年以上の超長期ローンだ。住宅ローンの支払い期限は原則的に80歳まで。現在、20代の夫妻は返済期間50年の住宅ローンの利用も可能なのだ。

 変動金利1%で1億円を借りたとする。支払い期限を50年とすると月の支払額は約21万円。毎月、手元には30万円以上のお金が残るので生活に困ることもない。絵梨さんが話す。

「資材高や人材費高騰の影響からマンション価格は右肩上がり。返済期間50年で住宅ローンを組み、返済期間中に物件を売却しようとしたとしても売却代金を住宅ローンの残高が上回る“残債割れ”で借金まみれになるの可能性は低いと思うんです。だから買うなら“今”かなって」

 マンション価格高騰が進む中で、超長期間の返済期間で住宅ローンを組むことは正しい選択肢となり得るのか。税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。