■景気後退局面でマンション市場変化の可能性を【CFPが解説】

──現在、不動産価格が高騰しています。その中で返済期間50年などの超長期間での支払いを前提とした住宅ローンを組む人も少なくありません。長期間の返済期間で住宅購入をする人が増えた場合、住宅ローンの支払いが滞る世帯が出てくることも考えられます。そうした事態になると現在の市況が一転し、マンション価格が下落することも考えられるかと。金融機関が超長期間の返済期間での住宅ローンの取り扱いを始めたことへの受け止めを、お金のプロの観点からどう捉えていますか。

 都内では中古マンション価格も急騰しており、このような環境下では35年返済だけでは毎月の負担が重くなり、若年層が購入市場から排除されかねません。そうした意味では、50年ローンは住宅取得需要を下支えする一定の社会的役割を担っているといえます。

 しかし重要なのは、「購入できること」と「無理なく返済できること」は本質的に別問題であるという点です。特に実務上のリスクとして留意すべきは、

1.育休・転職・病気などによる収入減少への耐性
2.金利上昇局面における返済負担の増加
3.将来売却時に価格が想定以下となった場合の残債リスク

 この3点です。

 こうしたローンが市場全体で広がると、景気後退局面では返済困難な世帯が増加し、その結果として不動産価格に調整圧力がかかる可能性も否定できません。

 したがって金融機関には、単に返済期間を延ばすだけではなく、金利変動や収入減少、出産・育児に伴う家計変化といった複数のリスクシナリオを織り込んだ、より実態に即した審査・説明責任が求められます。

【記事前編】では超長期間での返済計画となる50年ローンの利用者が増えた理由をCFP・宮岡秀峰氏が解説する。《【記事前編】はこちらから》

※税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格を持つ宮岡秀峰氏

宮岡秀峰(みやおか・しゅうほう)
公認会計士、税理士、行政書士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)。税理士法人アクシア代表社員、アクシア公認会計士事務所代表。公認会計士として会計・財務の視点から中小企業支援に取り組むほか、相続・事業承継分野にも幅広く携わる。講演や税務相談の実績も豊富で、会計・税務分野の書籍共著、雑誌寄稿も行なっている。

税理士法人アクシア 公式HP:https://axia.or.jp/