■6年で生活費は約20%増加

 年金暮らしの夫妻でも年間に20万円の“臨時収入”を受け取ることができ、旅行などの外出を自粛し、自宅にこもって生活をすれば日常の生活に必要な費用は年金だけで賄うことができるというのだ。

 一方で、コロナが明け日常が戻った現在、日常生活にかかる費用は再び増加している。

 事実、総務省統計局が公表している家計調査年報のデータによれば、高齢者が1か月に必要な食費や水道費・光熱費は19年に8万6441円だったのが25年には10万2504円だ。この6年で生活に必要な費用は20%近く増加しているのだ。小野田さんが話す。

「米は昨年5キロで5000円台が当たり前でした。3500円台が当たり前だった時代と比べるとおよそ1.5倍も価格が増えています。日常生活に必要なお金は明らかに増えているんです。このまま物価上昇が10年、20年と続けば老後の生活に必要となる費用はさらに増えてもおかしくないのではないでしょうか」

 現に小野田さんは自身の体験を振り返りこう語る。

「GWのことです。愛知県から遊びに来た長男夫妻と孫とともにテーマパークに出かけたところ5人の入場料だけでおよそ5万円が必要でした。せっかくだし人気アトラクションに乗ろうと思い優先パスを購入したら5人で1万円支払う羽目に。園内での食事やお土産にキャラクターグッズを購入しようものなら、日帰り旅行でも10万円使ってしまいましたよ。

 生活をするだけなら年金だけで事足りるのかもしれませんが、老後の資金を準備しておかないと孫と遊んだりして楽しく過ごせないのは明らかです」

 実際、小野田さんの家庭も生活に必要なお金を年金だけで賄えたのはコロナ禍だった20年のみだという。

 現に今年の2月に第一生命が試算した高齢夫婦の老後生活に必要となる資金は1528万円とされている。物価の上昇がこのまま続けば、再び高齢夫婦が老後の生活に必要な資金は2000万円を超えても不思議ではない。

 止まらぬ物価上昇の中、老後の生活に必要な資金をいかに備えるべきなのか。税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が解説する。