日々、若者文化やトレンド事象を研究するトレンド現象ウォッチャーの戸田蒼氏が本サイトで現代のトレンドを徹底解説。今回戸田氏が注目したのは、学習塾や予備校の「新しいカタチ」についてです。
日本の教育現場を支えてきた学習塾や予備校が、未曽有の危機に瀕しています。東京商工リサーチによると、2025年の学習塾倒産件数は55件に達し、過去最多を更新しました。負債1億円未満が9割以上を占め、物価高やオンライン学習との競争激化が中小規模業者を直撃し、独自性を打ち出せない塾の淘汰が急速に進んでいます。2025年1月には、大学受験予備校「ニチガク」が突然教室を閉鎖。受験直前という最も重要な時期での破産発表は、大きな波紋を広げました。
倒産ラッシュの背景にあるのは、授業形態の急速な変化です。対面中心だった従来型から、「個別化」「配信」へと学習スタイルが移行し、浪人生を大量に集めるビジネスモデルは成立しにくくなりました。現在では月額数千円で全国トップレベルの講義動画を視聴できる環境が整っており、無料の解説コンテンツも広く普及。年間80~100万円規模の通学型予備校は価格競争力を失いつつあります。
さらに、受験制度の変化も無視できません。推薦型・総合型選抜の拡大により、必ずしも高い偏差値を必要としない進学ルートが一般化したことで、「受験のために塾へ通う必然性」は以前より薄れました。
こうした環境の中で生き残りをかけた新たな動きも広がっています。特に注目されているのが、「不登校支援」と「通信制高校進学サポート」を組み合わせたサービスです。文部科学省の統計では、小中学生の不登校は約35万人を超えており、学校に通わない子どもへの支援ニーズが拡大。そのため、一部の塾では学習指導に加えて日中の居場所提供やカウンセリング、通信制高校の単位取得支援まで担うようになり、従来の「受験で点数を伸ばす場」から、「社会との接点を維持する拠点」へと役割が変わり始めています。