ドライブをしていると、夜中に「ギャー」「グアー」と響く耳慣れない声。もしや今話題のクマか……? と一瞬身構えるが、ここは千葉県。県知事は「熊」谷俊人氏だが、本州で唯一クマが存在しない県だ。どうやらこの地で、日本には生息しないはずの動物が急増中だという。
「正体は2005年に外来生物法に基づく“特定外来生物”に指定されたキョンです。2009年には千葉県で“キョン防除実施計画”が行われましたが、いまだに生息数増加や生息域の拡大に歯止めがかけられていない状況のようです」(全国紙社会部記者)
キョンというのは、中国や台湾を原産とする茶褐色の小型のシカ。大きさ約70~100センチメートル、背の高さ約40~50センチメートル、体重約10~15キロと中型犬サイズで一見かわいらしいが、よく見るとなかなかに珍妙なルックスをしている。
「オスだけが持つ短い角と小さな牙が特徴。さらに、目の下には“臭腺”と言われる分泌物が出る穴を持ち、それが“目”に見えるんです。そんな見た目から“ヨツメジカ”という別名もあります」(動物園関係者)
南の地から来た4つ目の小鹿……。そんな動物がなぜ千葉県を“侵略”しているのか。千葉県環境生活部自然保護課に問い合わせたところ、事の発端は1960~80年代に遡るとの回答があった。
「勝浦市にある私立の観光施設で飼育していた個体が逃げ出し、野外で定着したと考えられています」
2000年に発表された千葉中央博自然誌研究報告によると、2001年に廃業した大型動植物園から逃げたという説が有力。その報告にも、《園の周囲を囲むように金網製の柵が設置されているが、多くの箇所で破損しており,キョンが出入りするに十分な空間が開いていた〉〈戦後に 50頭が逃げた.鴨川市押本で 1990 年の夏始め頃に目撃した(1991年2月27日、鴨川市農産課職員からの聞き取りより)》とある。