■小栗斬首の理由は徳川埋蔵金絡み!?

 そんな小栗にまつわる、意外なものが“徳川埋蔵金伝説”です。彼が就いた要職の一つが勘定奉行。今でいう、財務省ですね。

 江戸幕府には御用金というものがありました。幕府の財政不足を補うため、町人や農民から集めた金銀のことです。それを勘定奉行だった小栗が隠した。それこそが、徳川埋蔵金だったというんです。

 慶応3年(1867)、大政奉還により新政府の時代が来ると、小栗はすべての要職を辞し、家族とともに上野国群馬郡権田村(群馬県)へと移住します。しかし、そこで新政府軍に捕えられ、斬首されてしまう。一説では、新政府軍が、優秀すぎる小栗を恐れて処刑したとされていますが、その一方で、前述の埋蔵金が絡んでいたとも言われている。

 私個人としては、徳川埋蔵金は、江戸城、つまりは皇居周辺の地下にあるのではと思っています!

 小栗が隠したにせよ、大量の金銀を運び出すのは大変です。それに、江戸幕府は、言うなれば天皇銀行の支店長のようなものでしたから、城の地下に隠すのが自然ではないでしょうか。

 真相は分かりませんが、こうした伝説が語り継がれるのも、小栗という人物が、いかに魅力に満ちた存在だったかを物語っています。

貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。