1億686万円──。
総務省の家計調査によれば2025年の65歳以上の無職夫婦世帯の支出は月29万6829円。人生100年と言われるこの時代。65歳から95歳までの30年間、夫婦で生活したとすれば1億686万円が必要になる計算だ。この数字にゾッとしたというのは都内の電子部品加工メーカーに勤める諸田洋平さん(56・仮名)だ。現在、大学4年生の息子と専業主婦の妻と暮らす諸田さん。55歳で役職定年を迎えたため現在の年収は600万円ほどだという。それでも世間一般と比較すると裕福な生活を送れるはずの諸田さんはなぜ、老後資金に脅えることになったのか。今回は諸田さんのケースをお金の専門家と共に検証する。
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「えっ、そんなに必要なんですか……」
梅雨に入り連日雨が続く6月半ばのこと。同僚から老後に必要となる生活資金は「1億686万円」という情報を伝えられて諸田さんは絶句したという。
前述のように25年の総務省の家計調査では65歳以上の無職夫婦世帯の支出は月29万6829円。ここから30年、夫婦で95歳まで生活すれば1億686万円が必要になるというわけだ。諸田さんが話す。
「老後2000万円問題とか聞いたことはありますよ。ただ、退職金が1000万円もらえますし、定年となる60歳から年金の受給が始まる65歳までは継続雇用で働こうと考えていたんです。貯金だって500万円ありますし、私立大学に通う息子の学費もあと1年だけ。これなら余裕だと思っていたのに……。まさか1億円超のお金が老後資金として必要だなんて……」
諸田さんが働く企業の平均年収は550万円ほど。誕生月に届く年金定期便を見る限り、夫妻が老後に貰える年金は約23万7000円だ。
厚生労働省が発表している26年度の厚生年金のモデル世帯の支給額は月23万7279円。まさに諸田さんの家庭は日本中の至る所にあるモデルケース家庭なのだ。
そんな諸田夫妻が仮に65歳から年金を30年間受け取ったとしよう。そうすると夫妻は95歳になるまでの30年間で8532万円を受け取ることができる。