■定年直前でNISAの開始を決意

 大学卒業から今まで同じ会社に勤めてきたという諸田さん。このまま定年まで38年間現在の会社に勤めれば、退職金を受け取る際に税金の計算から差し引くことができる退職所得控除額は2060万円となる。諸田さんの会社が30年以上勤務した社員に手渡す退職金は1000万円。この退職金は丸々受け取ることができる。諸田さんが受け取ることができる退職金の1000万円と30年分の年金8532万円を合計すると9532万円。つまり諸田さんの場合、老後の資金として不足するのは1154万円となるのだ。

 これに安堵した諸田さん。来年からは私立大学に通う息子にかかる年間の学費120万円分も支払う必要がなくなる。定年までの残りの期間は、息子の学費のために必要だった120万円をNISAに回すことを決意。

「今、自分の銀行口座にある500万には手をつけず、退職まで乗り切ろうと思います。老後に必要な資金は1億円以上。それでも年金と退職金を活用すれば家計は安泰なのがわかりました」

 定年を目前に控え老後資金の準備を始める諸田さん。税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が定年目前から始める老後資金の備え方を解説する。