■年金制度を活用しよう

 そんな諸田夫妻の老後生活で重要になるのは、やはり年金だ。仮に夫妻が65歳から年金を30年間受け取ったとしよう。そうすると夫妻は95歳になるまでの30年間で8532万円を受け取ることができる。

 諸田さんは大学卒業から今まで同じ会社に勤めてきた。このまま定年まで38年間現在の会社に勤めれば、退職金を受け取る際に税金の計算から差し引くことができる退職所得控除額は2060万円となる。諸田さんの会社が30年以上勤務した社員に手渡す退職金は1000万円。この退職金は丸々受け取れるのだ。退職金と30年分の年金を合計すると9532万円。つまり諸田さんの場合、老後の資金として不足するのは1154万円となる。

 この情報を聞き安心したという諸田さん。来年からは私立大学に通う息子のための学費120万円分も不要になる。諸田さんが語る。

「定年までの残り期間、息子の学費に必要だった120万円はNISAで投資に回します。今からでも間に合いますよね……?」

 銀行口座にある500万には手をつけず、退職までの生活も送る予定だという。

 老後に必要な生活資金は1億円以上。それでも年金と退職金を活用すれば多くの家庭は乗り切れるのだ。

 定年を目前に控え老後資金の準備を始める諸田さん。税理士法人アクシア代表社員で、公認会計士・税理士、CFP資格(日本やアメリカなど世界各国・地域で認定されている国際的なファイナンシャル・プランナーの最上位資格)を持つ宮岡秀峰氏が定年目前から始める老後資金の備え方を解説する。