連日、熱戦が繰り広げられているサッカーW杯北中米大会。日本中がサムライブルーの面々に期待する中、世界が注目する“侍”は、その応援スタンドにもいた。

「前回のカタール大会では、試合後にごみを拾い集める日本人サポーターの姿が話題になりました。勝っても負けてもスタジアムを清掃する日本人たちに感動し、影響を受けた他国のサポーターも試合後にごみ拾いを行っていました」(スポーツ紙記者)

 同様の賞賛はW杯のみならず、オリンピックやWBCなど、国際大会のたびに巻き起こる、もはや日本の伝統だ。さらに、今大会の開催地の一つアメリカでは、こうした日本人の気質が特に認知されている。

「ロサンゼルス・ドジャースに所属する大谷翔平(31)は、試合中にグラウンドのゴミを拾うことで有名です。また、メジャーリーグの選手はベンチでひまわりの種を食べながらその殻を床に吐き捨てますが、大谷は、ベンチを汚さないように紙コップに吐くんです」(前同)

 さらに、他人を重んじる大谷の行動は、個人主義のアメリカではかなり珍しいようだ。

「DHの大谷は試合中ベンチにいることが多いのですが、チームメイトのために給水する姿がたびたび目撃されています。MVPに4度輝いたスーパースターの行動とは思えないと、アメリカ中が驚かされています」(同)

 こうした奉仕の心は、日本人の国民性とも言えるだろう。ただ、どうやらそれは、私たちが生まれ持った気質ではないようだ。

 そのヒントは、公立小学校にある。私たちが当たり前のように行ってきた掃除・給食・運動会などの集団行動が、実は今、世界から注目を集めているのだ。公立小学校に23年間務めた元教師で、『ドラゴン桜 わが子の「東大合格力」を引き出す7つの親力』などの著書もある教育評論家の親野智可等氏は、国際大会での美しき伝統を生んだのは、幼少期の教育によるものが大きいと話す。

「ルールを守る、協力して何かを成し遂げる、自分の責任を果たすといった美徳は、日本人にとっては当たり前に感じるかもしれません。ですがコロナ禍以降、こうした非認知能力が世界各国で欠けていることが浮き彫りになりました。そこで注目を集めているのが、日本の“特活”です」

「特活」とは、文部科学省が定めた学習指導要領に基づく「特別活動」のこと。教科学習による認知能力の育成とは別に、集団活動を通じて非認知能力を育てる仕組みだ。掃除・給食・運動会はこの特活による取り組みで、これが“Tokkatsu”として世界に広がっているという。

「例えば掃除は、世界の小学校では清掃業者が行うのが一般的です。でも日本では、自分たちがいる空間、いつもお世話になっている空間を自分たちで綺麗にする。ただきれいにすることを目的とせず、掃除を通じて協調性や責任を学ぶことが教育の一環となっています」(前同)

 行動の先で学びを得るというのは、給食にしても同じだという。

「世界的には、お弁当を持参するか、カフェテリアで好きなものを買って食べるだけで、食事の時間を教育の一部とは考えていません。ですが日本は、子どもたちが食事の配膳から片づけまで行う。食べる時間すらも教育の一部として機能しているんです」(同)

 運動会に関しては、そもそも欧米では行われていない。近いものとしてスポーツイベントがあるが、その趣は日本とはかなり異なる。

「欧米の学校で行われるスポーツイベントのほとんどは個人種目で、参加も自由です。日本の運動会は徒競走こそ個人競技ですが、他は団体競技や団体演舞がほとんど。特活は、すべてにおいて美徳を学ぶための場になっているんです」(同)