■鍛え抜かれた職人が味で勝負する『餃子の王将』

 安くて量が多いだけでなく、ちゃんとおいしいのも町中華チェーン店のいいところ。前出の澤田州平氏は、味のいい店として『餃子の王将』を挙げる。

「王将は、鍛え抜かれた職人さんが厨房で鍋を振っている。一番、中華の香りがしっかりあるお店だと思います」

 前出の石塚英彦氏も、『餃子の王将』を「“餃子の”とつくくらいなので餃子は当然、“まいう~”です」と前置いたうえで、オススメのメニューに『キムチ炒飯』(693円=税込・以下同)を挙げる。

「僕は普通のチャーハンだと少し物足りないときに、味変としてキムチを乗せていたんです。でも、王将の『キムチ炒飯』を食べてみたら、最初からキムチを入れて良かったんだなと。僕の食生活の感覚を変えたまさに“作品”ですね」(前同)

 食の賢人たちをも唸らせる『餃子の王将』の実力。そんな『餃子の王将』には、人気メニューの具材を豪華にし、ワンランク上のコクと風味に仕上げたプレミアムメニュー“極王”シリーズがある。その中でも、通常の『天津炒飯』(814円)に大ぶりのエビと、こだわり玉子が加えられた『極王天津炒飯』(1298円)が絶品だと石塚氏は語る。

「とにかく玉子が分厚くて、餡にはエビとカニまで乗っている。これがまたチャーハンにぴったりの餡で、とにかく“まいう~”なんです。ただの王様じゃなくて、極王なんだなって理由が、よく分かります」(前同)

 豪華メニューも食べられる町中華チェーン店。そんな中で素朴な定番メニューに定評があるのは『幸楽苑』だ。前出の柏原光太郎氏も「『中華そば』が一杯490円は破格」と、その価格に感嘆する。

 そんな『幸楽苑』は1954年に福島県会津若松市で、うどんやラーメンを提供する『味よし食堂』として始まった。その後75年、県内に専門工場を建設し、製麺と餃子の製造を開始。

 この頃、今では町中華の定番となったラーメンと半チャーハンのセットを、日本で初めて売り出した。

 現在でも5店の中で唯一トッピングメニューに『背脂』(130円)が用意されており、定番メニューへかける思いがうかがえる。

 そんな『幸楽苑』に負けじと麺類に力を入れているのは『リンガーハット』だ。石塚氏は、『長崎皿うどん』(900円)に魅了されたという。

「皿うどんは二度おいしいんです。最初はパリパリ麺の香ばしさを楽しみ、後半は、たっぷりの餡で麺がしんなりしてくる。その変化が、皿うどんのたまらないポイントです」(前同)

 柏原氏もこの意見に強く、うなずく。

「皿うどんと『長崎ちゃんぽん』(860円)に絞ってメニュー構成がされている。だからか、チェーン店なのに味も巷のちゃんぽん店に引けを取らない。5店の中で一番好きですね」

 5店5色、さまざまな魅力があるのが町中華チェーン店のいいところだ。

【後編】ミシュランシェフをうならせる『餃子の王将』炒飯の秘密や、見逃せない「バーミヤンの季節フェア」、管理栄養士が絶賛する『リンガーハット』のメニューなど、町中華チェーンの“本当の実力”を徹底検証する。《【後編】はこちらから》

石塚英彦(いしづか・ひでひこ)
1962年2月6日生まれ。神奈川県出身。恵俊彰とのお笑いコンビ「ホンジャマカ」のボケ担当。俳優や映画の声優、「まいう~」のセリフでおなじみのグルメリポーターとしても活躍。愛称は「石ちゃん」。

澤田州平(さわだ・しゅうへい)
『中国菜厨エスサワダ』総料理長。兵庫県出身。神戸村野工業高等学校を卒業後、中華料理店でのアルバイトを経て辻調理師専門学校に進学。2000年に卒業後、兵庫の新阪急ホテルに就職。国内外問わず様々なホテル、中華料理店での修業を経て、大阪の『ジョーズ シャンハイ ニューヨーク』や『中華旬彩サワダ』の料理長を歴任。16年、大阪市内に『中国菜厨エスサワダ』を開業。その後も、19年に『中華バルサワダ』、20年に『中国菜エスサワダ西麻布』、21年に『大阪中華サワダ飯店』『大衆中華さわだ食堂』をオープン。テレビ、イベント、SNSなどを通し、親しみすい人柄とレシピでお茶の間でも人気急上昇中。

柏原光太郎(かしわばら・こうたろう)
1963年東京生まれ。1986年慶應義塾大学経済学部卒業後、株式会社文藝春秋入社。「週刊文春」「文藝春秋」編集部等を経て、ニュースサイト「文春オンライン」、食の通販「文春マルシェ」を立ち上げ、『東京いい店うまい店』編集長を務める。EC事業開発局長を経て退職後、Kassie&Co.株式会社代表取締役。ほかに美食倶楽部「一般社団法人日本ガストロノミー協会」会長、「食の熱中小学校」校長、食べロググルメ著名人、とやまふるさと大使、DMOさかい観光局アドバイザー、高志の国文学館アドバイザー。著書に『「フーディー」が日本を再生する! ニッポン美食立国論』(発売: 講談社 発行: 日刊現代)、食べログフォロワー5万人以上。「dancyu」「食楽」「味の手帖」「食べログマガジン」など執筆多数。