■車からも厄介者扱い

 中でも一番の問題は安全面だろう。電動キックボードが目の敵にされがちなのは、「危ない」という理由からだ。現状、“車道では時速20km、歩道では時速6km”と制限速度は決まっているが、これは現実に即した数値とは言い難い。

「実際に車道を時速20kmで走ると、後ろから車にバンバン抜かされて恐ろしいわけですよ。じゃあ歩道を走ればいいかといえば、時速6kmではあまりにも遅すぎる。そもそもこの時速6kmという制限は電動車椅子のルールを流用したものに過ぎないし、普通のママチャリでも時速12~16kmくらい出ますから。そして業を煮やして時速20kmで歩道を走ると、歩行者にとってはまさに暴走行為となるんです」

 車からも電動キックボードは厄介者扱いされている。ドライバーにとっては、相手が自転車であれ電動キックボードであれ、少し引っかけただけでも自分に賠償責任が生じる。どんなに相手が悪くても、過失割合は5対5からのスタートとなりがちなのだ。

「電動キックボードに乗っていて一番危ない局面は、駐車車両を追い越すときなんですね。ここで自転車と何が違うかというと、自転車は後ろを振り返ることができるんですよ。ところが、電動キックボードは構造的にそれが難しい。車輪が小さいから安定感に乏しくて、片手運転するのも難しいくらいです。だから後方確認をしない連中が駐車車両を避けるためにフラッと車道の真ん中のほうに出てくる。ドライバーからすると、それがすごく危ないわけです」

 なにしろ運転免許が不要なので、電動キックボーダーは1秒も道交法を習うことなく路上を走り回っているわけである。確かにこれでは事故がいつ起こっても不思議ではない。

「それでもLUUPはマシなんです。最初にアプリを登録する際、交通ルールのクイズ10問に答えないといけない仕組みになっていますから。でも、LUUPとそっくりなLimeというところは世界企業だから、海外でアプリを取得した外国人が日本の交通ルールなんて何も知らないまま乗ったりする。それで日本の道路で2人乗りしたりしていますからね」

 もちろんサービス提供側とて相次ぐ批判に対して指を咥えているだけではない。現場レベルでは危機感もかなり高まっているという。

「たとえばドコモ・バイクシェアというNTTドコモ傘下のサービスがあるんですけど、ここでは特定小型原付に乗るためには自動車運転免許が必須になる。これはどういうことかというと、“法的には必要ないけど、自主規制ルールとして自動車免許が必要です”という話なんです。普通の規制は“ゆるい民間”に対して、“厳しい国”が当たり前ですが、あべこべになっているんですからね。こんなの、どう考えても制度がおかしいですよ」