■“排除”ではなく“共生”
さて、ここまで電動キックボードの問題点を鋭く指摘してきた疋田氏だが、「それでも時計の針は戻せない」と最終的には“排除”ではなく“共生”の道を提案している。
「感情的に“面白くない”という人もいるかもしれませんが、ヨーロッパ諸国の様子などを見ると、この流れは止められないとも思うんですよね。確かにパリなどでは、事故が頻発してシェアが禁止されました。しかし、デリンクエンツ(不良暴走少年)たちは、もっとハイパワーの電動キックや違法モペッドに乗ってるのが現状で、それはもう止まりません。なんとか両者の相寄るところを探ろうとしているのがまさに今なのです」
では実際に電動キックボードに乗るときは、どんなことに注意すればいいのか?
「まず頭に叩き込みたいのが、左側通行。これがすべての基本形になります。62歳の方の死亡事故にしても、右側通行が原因でしたしね。“交差点に強制左折レーンがあり、自分が直進したい場合はどうするか?”などの難しい問題もあるのですが、とにかく一番左を走るということを徹底してほしい。あとは普通に“赤信号で止まる”とか“原付と同じように二段階右折する”とか当たり前のことをすればいいだけです」
最後に疋田氏は電動キックボードに関して“今後、おそらく浮上する問題”について持論を展開した。
「ズバリ、ヤバいのは酔っ払い運転です。繁華街で特に顕著なのですが、飲んだ際、タクシー代わりに使用するケースがあまりにも多い。警視庁の方から聞いた話では、夜中に取り締まりをすると“3~5人に1人くらいの割合で飲んでいる”ということですから。今年4月の青切符導入”で自転車の飲酒運転が厳しくチェックされるようになったのはご存じだと思いますが、ここから電動キックボードの飲酒運転問題も可視化されていくでしょうね」
これ以上の犠牲者を出さないためにも、ルールの周知と徹底が急務となっているのは間違いない。
疋田智(ひきた・さとし)
1966年、宮崎県生まれ。自転車評論家。89年、東京大学文学部卒業後、TBSに入社。毎日12kmの通勤に自転車を使う「自転車ツーキニスト」として、環境や健康によく、経済的な自転車を社会に活かす施策を論じる。芝浦自転車研究所所長、NPO自転車活用推進研究会理事。TBS情報制作局のプロデューサーでもある。著書に『「自転車」はどこに向かうのか』(旬報社)など。