武田鉄矢が、心を動かされた一冊を取り上げ、“武田流解釈”をふんだんに交えながら書籍から得た知見や感動を語り下ろす。まるで魚を三枚におろすように、本質を丁寧にさばいていく。
つい考え込んで悩んでしまうことに家族のことってありますよね。家族のことで悩む、また不安になるっていうのはどうにもつらい。なぜなら、どこにも正解がないからです。
こうなれば幸せとか、これで100点とか、そんな幸せ家族は、どこにもない。
とにかく、幸せを自分たちで作り、自分たちで自足するしかない。家族の幸せというのは難しいもんで、自分だけを大事にすると、たちまち割り切れない答えになる。家族で力を合わせ、その等分の力で支え合っての幸せなんでしょう。
ただし、妻との関係がそうですが、2人で始まった夫婦も、子が生まれると、これが家族関係になり、私を支えてくれていた妻も、私ばかりとはいかず、その力を子供にも注ぐことになる。暮らしを手分けして生きねばなりません。
その子も成長すれば己を主張し、親に従うばかりではなくなるわけで。
思えば私自身、折り合いの悪い家族関係で育ちました。私の父と兄は本当に犬猿の仲でした。
父は戦時の緊張がまだ表情にあり、すべて命令口調の人でした。兄は戦後昭和の流行歌『青い山脈』(藤山一郎・奈良光枝)を歌う世代で、戦前・戦中を「封建的」と否定するリベラル青年。
この2人は、どんなささやかなことでも、対立すると必ず取っ組み合いの大喧嘩になるんです。