■日本でも“謎を呼ぶ”ポスターも 『THE FIRST SLAM DUNK』の成功例
とはいえ、日本でもすでに有名なシリーズ物(IP)や有名監督の作品であれば、アメリカ的な“謎を呼ぶ”デザインが採用されることもある。前田氏が続ける。
「『THE FIRST SLAM DUNK』(2022)では、映画の内容やタイトルが明かされる前に発表されたポスターが、真っ白な背景に2つの拳だけが描かれたビジュアルで、Xでは《誰と誰の手なんだろう?》《どのエピソードが映画化するんだろう?》などと話題を呼びました。これはやっぱり、日本で強烈に知名度のあるIPだからこそできるアプローチですよね。
宮崎駿さんの『君たちはどう生きるか』(2023)も、ポスターには謎の鳥の着ぐるみみたいなキャラクターが描かれているだけで、文字情報は監督とタイトルと公開日しか載っていませんでした。あれも宮崎さんだからできた技。その国において、『この情報だけで十分劇場に足を運んでもらえるだろう』という事情は、それぞれだということです。日本の場合は、『Backrooms』にせよ『トイ・ストーリー5』にせよ、なるべく最小限の露出で最大公約数に届くように作ることが優先されたということです」
もし、洋画の日本版ポスターに何か違和感を覚えたとしたら、その裏には“宣伝側の事情”が潜んでいるといえそう。前田氏は、「宣伝側もジレンマはあると思いますよ」と慮った。
〈取材・文 町田シブヤ〉
前田有一
映画評論家。東京都生まれ。紙媒体のコラムやTV番組で、新作から旧作まで、幅広いジャンルの映画の分析や解説を行っている。「ごく普通の人々のための、週末の映画選び」をコンセプトにしたWEBサイト「超映画批評」を運営。
著書に『それが映画をダメにする』、『どうしてそれではダメなのか。~日米中の映画と映画ビジネス分析で、見える世界が変わる』(ともに玄光社)
映画評論家。東京都生まれ。紙媒体のコラムやTV番組で、新作から旧作まで、幅広いジャンルの映画の分析や解説を行っている。「ごく普通の人々のための、週末の映画選び」をコンセプトにしたWEBサイト「超映画批評」を運営。
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