■三女神が降臨した神域“高宮祭場”で…

 実は、三女神は、この二柱が“誓約”という神聖な儀式を行った際に誕生した神様です。そして、アマテラスから、「歴代天皇をお助けせよ」との神勅を授けられ、玄界灘に降臨したとされています。

 玄界灘は、日本とユーラシア大陸を結ぶ海の要路。その道を守る三女神は“道主貴”とも呼ばれ、あらゆる道を導いてくれる神様として崇敬されています。

 私が以前、辺津宮へお参りに行った際、本殿の右奥にある“高宮祭場”を訪れたんですが、そこで手を合わせていた壮年の男性から、「今、神様がいらっしゃいますよ」と、教えてもらったことがあります。

 高宮祭場は、三女神が降臨したとされる神域です。そこで聞いたひと言だけに、なんとも不思議な気持ちがしたのを今も覚えています。

 ちなみに、宗像大社を支えた偉人の一人が、石油会社『出光興産』の創業者・出光佐三です。宗像市出身の佐三氏は、第2次大戦後、神社の荒れ果てた姿に心を痛め、莫大な私財を投じ、再建しました。佐三氏は、小説『海賊と呼ばれた男』のモデルとしても有名ですよね。同作は映画化もされましたから、作品を通じ、宗像大社に興味を持った方も多いのでは?

 海道を守る宗像三女神と、その聖地を守り抜こうとした人々の祈り。そうした歴史に思いを馳せると、宗像大社が、神話と現代をつなぐ特別な場所なのだと感じます。

貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。