■エンタメとして楽しみたい『ファーストクライ』

 端々で疑問に思うシーンが多い本作。視聴者のツッコミ以外にも、メイ(宮崎)の夫が退院のときしかあらわれなかったこと、鮎川(紺野)が置き去りにした子どもはその後どうしたのか、麻酔科医・藤堂(岡部たかし/54)は漫画は家で描けよなど、キリがない。あげく、医療ドラマのはずなのに院長・神谷(真矢ミキ/62)が選挙に出馬打診される展開など、ずいぶん話が大きくなってきた。

 とはいえ、細かいところを気にしなければ、光井(比嘉)と永坂(松島)ら医師、コンシェルジュ・成宮(前田敦子/35)、助産師・倉田(山村紅葉/65)らのチーム感は見ていて頼もしく、テンポもいい。メディカル・エンターテインメントをうたっているので、エンタメ作品として楽しめばいいということなのだろう。

 さらに、毎回、登場する新生児のかわいさは尋常ではない。X上でも、《赤ちゃんが可愛くて初めて泣き出す瞬間も本当に可愛くて涙が出る》《赤ちゃん出てくる度ににっこりしちゃうし、我が子が無事に産まれてくれて良かったと思えて良いドラマですよ》と、メロメロになっている出産経験者と思しき視聴者の声は多い。これは明らかに狙っての新生児推しだろう。

 医療ドラマは治療シーンのリアリティが魅力だが、本作はあえてそこを外して、エンタメに振り切った印象だ。医療的にはツッコミどころ満載であっても、そこが受けての好調なのだろう。次回はヤングケアラーの高校生の妊娠と、妊産婦の約10人に1人が経験すると言われている“産後うつ”が描かれるが、好調は続くだろうか。

(ドラマライター・ヤマカワ)

■ドラマライター・ヤマカワ
編プロ勤務を経てフリーライターに。これまでウェブや娯楽誌に記事を多数、執筆しながら、NHKの朝ドラ『ちゅらさん』にハマり、ウェブで感想を書き始める。好きな俳優は中村ゆり、多部未華子、佐藤二朗、綾野剛。今までで一番、好きなドラマは朝ドラの『あまちゃん』。ドラマに関してはエンタメからシリアスなものまで幅広く愛している。その愛ゆえの苦言もしばしば。