「昔からタコスが好きで、休みの日は新しくできたタコス屋を巡るのが趣味なんです。でも最近は、もう追い切れないくらい店が増えていますね」
そう話すのは、都内在住の30代会社員だ。
あくまで個人の実感ではあるものの、「ここ1〜2年でタコス専門店が一気に増えた」と感じている人は少なくない。
「少し前までは“おいしいタコス屋”って限られていたんですけど、最近は個人店も増えましたし、イベントでもタコスを見かける機会がかなり多くなりました。昔はハンバーガーやカレーだったところに、いまはタコスが入ってきた印象があります」
こうした流れは、もはや専門店だけにとどまらない。全国規模で展開する大手外食チェーンも、相次いで“タコス”を前面に押し出し始めている。
サブウェイは今年5月、4年ぶりに復活させたフラットブレッドに、ピリ辛のタコスミートやサルサソースを挟んだ期間限定商品3種を全国で発売した。すると、フラットブレッドの販売数は当初想定の約5倍に達し、発売からわずか2週間足らずで国内在庫が終了するほどの売れ行きに。さらにタコスシリーズ全体でも、発売1カ月で累計50万食を突破した。
そして7月15日からは、モスバーガーも参戦。「アボカド タコスバーガー」をはじめとした期間限定商品を投入した。モスにとってタコス味は突然現れた新機軸ではない。昨年夏に販売した「モスタコスバーガー」は、期間中に約300万食を売り上げたヒット商品だという。その実績を引っ提げ、2026年はアボカドやレモンを組み合わせた新作も加え、タコスシリーズをさらに拡充した。
全国チェーンで数百万食規模が動くとなれば、タコスはすでに一部の食通だけが追うニッチな料理ではなくなりつつある。
SNS上でも、《最近タコス屋、本当に増えた気がする》《次はタコスブーム来るんじゃない?》《バーガーより軽く食べられるから好き》《帰り道にみつけたサブウェイもモスバーガー、どっちも新商品タコスやってた タコス流行ってるかもしれない》《ランチにタコスという選択肢が普通になってきた》といった声が見られる。
専門店が増え、イベントでも目にする機会が広がり、ついには大手チェーンで数十万、数百万食単位のヒット商品まで生まれている。数字だけを見ても、いま日本でタコスを取り巻く空気が明らかに変わり始めていることは間違いない。
では、この“タコス人気”は一過性のブームなのか。それとも、日本に根付く新たな食文化の入り口なのか。タコスの専門家に話を聞いた。