ラーメンインフルエンサーが分析「家系ラーメンはいま"第4次ブーム"に入っている」
「私は、現在の家系ラーメンは“第4次ブーム”に入っていると考えています」
そう話すのは、年間400〜500杯のラーメンを食べ歩き、Instagramなどで家系ラーメンの魅力を発信するラーメンインフルエンサー・みきおさんだ。
家系ラーメンの歴史を振り返ると、第1次は1980年代、『吉村家』、『本牧家』、『六角家』といった"家系御三家"が横浜を中心に人気を集めた時代。第2次は、六角家が新横浜ラーメン博物館へ出店したことをきっかけに全国へ認知が広がり、第3次では資本系や独立系を含め、全国へ店舗が広がっていった。
そして現在を「第4次ブーム」と呼ぶ最大の理由は、店舗数ではなく「多様化」にあるという。
「『王道家』や『大輝家』、『野中家』といった新たな系譜が勢いを伸ばしていますし、『こいけのいえけい』のように、これまで家系を専門にしてこなかった人気ラーメン店が参入するケースも増えています。さらにInstagramやTikTok、YouTubeなどでおすすめの食べ方やカスタマイズが広まり、“家系ラーメンは入りづらい”というイメージも変わってきました」
その流れを象徴する存在が、近年よく耳にする「ネオ家系」だ。
「ネオ家系というと、“鶏を前面に出した家系”というイメージを持つ方もいますが、私はそうではなく、家系ラーメンの魅力を残しながら、現代の嗜好に合わせて再設計されたスタイルだと考えています」
従来の家系ラーメンは、豚骨を力強く炊き上げた骨感や獣感、そしてライスを豪快にかき込むようなパンチの強さが魅力だった。
一方でネオ家系は、豚骨や鶏の旨味をよりクリアに引き出し、雑味や臭みを抑えたバランス重視の味づくりが特徴。さらに器や盛り付け、店内デザイン、接客に至るまで洗練され、「初めて家系ラーメンを食べる人でも入りやすい」店づくりが進んでいるという。
その結果、以前は男性客が中心だった家系ラーメンにも変化が生まれた。
「女性一人で来店される方や、カップルで食べに来る方を見かける機会は明らかに増えました。昔は床が油で滑るようなお店も珍しくありませんでしたが、今は清潔感や入りやすさを意識した店舗が増えています。ネオ家系をきっかけに家系ラーメンを好きになって、その後に老舗やほかの系譜へ興味を広げていく人も多いと感じます」
みきおさんが、ネオ家系を初めて食べる人に薦めるのは、『飛粋』『豚骨 蒼翔』『こいけのいえけい』だ。
「店構えが現代的で、注文方法も分かりやすく、盛り付けも美しい。それでいて味はしっかり本格的。“家系ラーメンって難しそう”と思っている方でも入りやすいお店だと思います」
一方で、新しい家系ラーメンに対しては、「これは家系ではない」という声も根強い。しかし、みきおさんは、その論争そのものが家系ラーメン文化の魅力と捉えている。
「以前は“どこで修業したのか”“どの系譜なのか”が重視されていましたし、それを大切にする文化は今もあります。一方で、いまはSNSで“おいしそう”“食べてみたい”と思ったことがきっかけで店を訪れる人も多い時代です。系譜を重視する人もいれば、味や価格、ボリューム、見た目を重視する人もいる。それぞれの価値観が共存していることこそ、今の家系ラーメンの面白さではないでしょうか」
ネオ家系は、昔ながらの家系ラーメンを否定する存在ではない。伝統を受け継ぐ店があり、新しい価値観を取り入れる店もある。その両方が共存し、家系ラーメンというジャンルそのものの裾野を広げている。
みきおさんが「第4次家系ラーメンブーム」と表現する現在は、単なる流行ではなく、家系ラーメンが時代に合わせて進化を続けている、その過程なのかもしれない。
ラーメンみきお
1977年生まれ。 家系ラーメン歴32年、年間400~500杯を食べ歩く。Instagramでは東京・神奈川を中心に家系ラーメンを発信。ラーメンコミュニティ「東京麺会」で家系ラーメンをテーマに登壇したほか、ローカルラジオへの出演など、家系ラーメンの魅力を伝える活動を行っている。