横綱、親方として、相撲を通じて日本文化や神事に長らく関わってきた貴乃花。自身が体験したことや、本を読んで学んだこと、そして、心に残った“ニッポンの魅力”を、歴史の話も交えながら伝えていく。

 今回は、『出雲大社』(島根県)についてお話しします。縁結びの神、としても名高い神社ですが、その魅力は御利益だけではありません。日本神話と深く関わり、今なお多くの謎を秘めた場所でもあるんです。

日本神話と深く関わる出雲大社(写真は拝殿)。平安時代には本殿の高さが48メートルで、日本一の大きさだったと言われている。 ※画像/Shutterstock

 そもそも、出雲大社という名前で親しまれるようになったのは明治時代に入ってからのこと。それ以前は長く、『杵築大社(きづきたいしゃ)』と呼ばれていました。現在の住所にも、“杵築”という地名が残っています。

 その由来は、奈良時代に編纂された『出雲国風土記』にあります。御祭神・大国主大神(以下、オオクニヌシ)のために全国の神々が集って立派な御神殿を“築(きず)”いた。それが転じて、“きづき”になったと伝えられています。

 また、旧暦の十月を神無月(かんなづき)と言いますが、出雲地方では“神在月(かみありづき)”とされているのは、ご存じの通り。その時期、全国の神々が出雲大社に集まるからですね。

 つまり、オオクニヌシが鎮座する出雲は、古代から現在まで、ずっと神々が集う特別な場所なんです。

 では、それほどまでに信仰を集めるオオクニヌシとは、いったい、どんな神様なのでしょうか。