■タトゥーが珍しくない時代が到来か 彫師「確実にその方向に動いています」

 件の「タトゥー裁判」が行われる前、2020年9月16日の最高裁判決以前は、医師免許を持たない彫師が医師法違反に問われるケースがあったというが……。前出の大島氏が語る。

「最高裁で、タトゥー施術は医療行為に当たらないという判断が示されたんです。これにより、“タトゥーを入れるのに医師免許は不要”と一気にハードルが下がりました。SNSでタトゥーが身近になり、入れたい人や彫師が増え、司法判断も彫師という職業を後押し。さらにタトゥー関連の投稿が増え、入れたい人も増える──。こうした循環でタトゥーが広がっています」

 2020年9月16日、最高裁は、タトゥー施術は医師法17条の「医業」に当たらないため、医師免許を持たない者が施術しても同条違反ではないという判断を下した。

 さて、タトゥーは人によって柄や入れる部位が異なるが、これに何か共通のメッセージ性や意味合いはあるのだろうか。三吉は花、平手は王冠など個性豊かなデザインで話題を集めているが――。

「現代タトゥーのほとんどは、純粋に個人の思い入れです。メッセージ性があって入れている人もいますが、“どこに入れたらこの意味”“どの柄はこの意味”といった共通の認識はなく、何でもありで自由。どんな柄のTシャツを着るかと同じような感覚です」

 最後に大島氏は、今後のタトゥーについて「さらに広がっていくと思います。私が業界に入ったこの32年でも、確実にその方向に動いています」と述べた。

 これからはタトゥーが珍しくなくなり、芸能人が入れていても話題にすらならなくなるかもしれない。

大島托(おおしま・たく)
タトゥーアーティスト。世界を放浪していた1994年にタトゥーを始め、インド、タイ、ヨーロッパでキャリアを積み、2006年から東京に拠点を移す。専門はトライバルタトゥーデザイン。現在は縄文時代インスパイア企画「Jomon Tribe 」などを手がけている。著書に『一滴の黒』(ケンエレブックス)、『JOMON TRIBE 』(FUTURE WORKS )など。