■松田「熱量、とんでもないですよ」 井上「ここまで新人に熱量を出してくれる環境はない」
――良い話ですね!
松田 やっぱりそれって、ほかのドラマ現場とかでは見たことがなくて。たとえば、京都の東映撮影所は少し似ているんですよね。20年前と現在で同じスタッフが何人かいて、それぞれが頑張っている。
でも、『仮面ライダー』というか、特撮という世界の中で、そこに特化して磨き上げられたものはすごい。それが年々続いているんですよ。
――すごいですよね。
松田 新しくプロデューサーとして入った20代前半の方に、“『龍騎』に憧れて業界に入って、東映の面接でも『ナイト』(※松田が演じた仮面ライダー)の話をしました”と言うスタッフもいて。その人が、次の時代を作っているわけじゃないですか。“俺は何を見せられているんだろう!?”という感じがありましたね。人の流れというか、バトンの受け渡しというか。すごいな、と思いました。
――ライダー出身の俳優さんは口をそろえて「現場の熱量がすごかった」という話をしますよね。
松田 熱量、とんでもないですよ。
――当時、現場で学んだことでその後に「生きているな」と思うことがありますか?
松田 そのカットに情熱をかけなきゃいけない、ということは現場ですごく学びましたね。
僕ら、めちゃくちゃなスケジュールで撮っていくので、“ハイ、ヨーイ!”の声で慌てて目が覚めたりして、撮った記憶のないカットがあったりもしました。それを自分で振り返ると、もっと努力できたな、とは思います。まだ拙い自分を世の中の皆さんにお見せしてしまったな、と思う部分があるので、そこに対する“もっとできる!”という思いを持ち続けているのは、『仮面ライダー龍騎』の現場のおかげだと思いますね。
井上 当時、新人だった僕は“頑張ること”には余念がないじゃないですか。だから、すごい熱量で頑張ってきたつもりですけど、監督もプロデューサーも、その熱量に合わせてくれたんですよ。それが当たり前だと思っていたんですけど……いま思うと、ここまで新人に熱量を出してくれる環境はない。
それを監督やプロデューサーは毎年やっているんですよ。十数年、毎年新しい人が来て、同じ熱量で作品づくりに対して没頭できるかというと、本当に『仮面ライダー』の現場はすごいことをやっていると思います。