■現場は毎年「これが最後」の精神で本気を出している

――井上さんの出演していた『ディケイド』は、平成ライダー10周年記念作で、 “次の10年”の橋渡しな部分もあった、独特な作品でした。『ジオウ』で再登場した際に、感じたことなどはありましたか?

井上  当時はその先の10年の橋渡しみたいなことは何も言われてなかったので、結果的にそうなっただけじゃないですか(笑)。

 僕は客演してクランクアップになるたびに、“これで『仮面ライダー』をやることはないんだろうな”と思っています。毎回ゲストで出るたびに“これで最後、また出る、これで最後、また出る……”となっていて、永遠に続くんじゃないかなって思い始めてますけど。(一同爆笑)

井上  だから、僕の中では終結してないんですよね。終わってないし、こういう取材でも『仮面ライダー』の話をするじゃないですか。だから、永遠に生き続けているコンテンツですね。

 10年というか、この先にまたゲスト出演することになったら、結果的に20年になっちゃうのか分からないですけど、不思議な作品だな、と思っています。

 最近だと、世代じゃない子どもたちもネット配信とかで観るようになっていて、いろいろな世代の人が観てくれる作品なんだろうって。

――当時、『ディケイド』のキャッチコピーが「平成ライダー? 10年早ぇよ!」だったので、井上さんもてっきり……。

松田  たぶん、出る側はないと思いますよ。

井上  “この先10年~”なんて、みんな思ってないんじゃないですか(笑)。

松田  田﨑監督と話した時も、 “次の作品があるとは思ってなかった”って話をしてましたね。

『龍騎』をやっている頃に『555』があるとは思ってなかったし、 『アギト』の次に『龍騎』があるとも思ってなかったと。本当に、“これが最後”と思ってやってるんだって。後半から次回作のこと考えていたら、あんな面白い作品になっていなかったと思います。

――なるほど。毎年最後な感じですか。

松田  やっている側は絶対にそうですよね。それを司っているプロデューサーとか、俯瞰して観ている人たちは“次”を分かっているかもしれないけれど、現場で戦っているメンバーは俳優もスタッフも、“これが最後”というか。今この瞬間に本気を出しているだけだと思います。

スタイルの良さがよくわかる2人 撮影:ピンズバNEWS編集部

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井上正大(いのうえ・まさひろ)
 神奈川県出身。株式会社AICライツ代表取締役社長。2009年に平成仮面ライダー10作記念作品『仮面ライダーディケイド』にて“門矢士/仮面ライダーディケイド”として連続テレビドラマ初出演・初主演を飾る。役者業以外でも舞台の演出やアニメ制作会社など、多方面でクリエイティブな活動をしており、2021年4月からはオリジナルの特撮ドラマを製作する企画を立ち上げ、それが『ジサリス』として実を結んだ。

松田悟志(まつだ・さとし)
 大阪府出身。ノースプロダクション所属。2002年、平成仮面ライダーシリーズ『仮面ライダー龍騎』で“秋山蓮/仮面ライダーナイト”として、初のテレビドラマレギュラー出演を飾り、一躍知名度を上げる。現在も『龍騎』に関するイベント出演など精力的なファンサービスを行っているほか、2022年3月にはオリジナル創作サークル「仮面の騎士」を設立。自叙伝や創作小説、音楽活動など、役者業以外も活動の幅を広げている。