■狙いは金銭以外にも…注意すべきポイントとは

 だが、狙われるのは金だけではない。吉川氏は、正規の案内が含まれている可能性もあるとした上で、「SNSやLINEから直接誘導される寄付には慎重になった方がいい」と話し、こう続ける。

「ここで気をつけなければならないのは、その後のやり取りの中で、個人情報を抜き取られる可能性もあるということです」

 いったいそれは、どういうことか。

「寄付をするとき、相手への警戒心は緩みやすい。その状態でやり取りを続ければ、普段答えないことまで話してしまうことにもつながりかねないんです。そうした会話から匿名・流動型犯罪グループ、いわゆる“トクリュウ”のような組織に個人情報が渡れば、別の詐欺や強盗に利用される危険もあります」(前同)

 善意の寄付をエサに、二度、三度と繰り返し相手を騙す──。どこまでも卑劣な手口から身を守るため、私たちはどうすればいいのだろうか。

「自分が犯罪者ならどうやって相手を騙すか、犯罪者側の視点に立つことも、一つの防御策といえるでしょう。例えば、“SNSやQRコードを使えば簡単に送金させられるのではないか”“『被災者のために寄付した人の名前を伝えたい』と言えば情報を聞き出せるのではないか”と考える。そうすれば、実際に同じ言葉をかけられたときに踏みとどまることができると思います」(同)

 一番悪いのはそうした手口で金銭を狙う悪人であることは明白だが、自分の身を守るのは、こうした日々の意識づけなのかもしれない。

 そう簡単ではないと思う読者の方は、まずは詐欺だと断定できなくても、判断に迷ったときは、消費者ホットラインの「188」や、警察相談専用電話の「♯9110」に相談することを徹底してほしい。
被災地の一日も早い復興が待たれる。

吉川祐二(よしかわ・ゆうじ)
1977年警視庁世田谷署少年係配属。その後、当時薬物押収量や検挙数が日本一といわれた、新宿署保安第二係で薬物銃器犯罪の捜査などに従事。1999年池袋署警部補で退職。映画『デスノート』取材協力や映画、ドラマの監修も務め、20年近く視聴者に分かりやすい解説を心がける元警察官解説者の先駆け。