■朝鮮半島にも影響力大和王権の支配地域
そして478年、武(=雄略天皇)は、“安東大将軍”の称号を得ます。読んで字のごとく、「東方を安定させる将軍」という意味です。
このとき、武は倭国だけでなく、朝鮮半島の百済や新羅といった国々を統率する権利も欲しいと申し出ました。結果的に、それは認められなかったんですが、当時、倭国が朝鮮半島の情勢にも深く関わっていたという資料も一部見つかっているので、大和王権の支配地域は、我々の想像以上に大きかったのかもしれません。
ここまで紹介したことは、一部の資料から推察されたものに過ぎないと、付け足しておきます。それだけ、空白の150年や、倭の五王を知る手がかりは少ないんです。
中国の皇帝から称号を授かったということは、見方を変えれば、倭国が中国の属国に近い立場だったとも受け取れます。その不都合な真実を隠すために、後世の天皇が、意図的に五王の記録を消したのではないかという仮説もありますし、歴史の真実が明らかになるのは、いったい、いつになるのやら……。
さて、この連載は今回で終了です。約1年間にわたり、読者の皆様と歴史の真実を探求できたことを大変嬉しく思います。本当に、ありがとうございました。
歴史の謎を追う旅に終わりはありません。ニッポン道──日本という国の根幹を探す私の旅は、これからも続きます。また、どこかで、皆さんにお会いできる日を楽しみにしております。
貴乃花光司(たかのはな・こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。2018年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。