■五月みどりが明かした「必ずヤルやつ」の話

 五月さん、はっきりおっしゃった。

「必ずヤルやつがいる」

 夜行列車の寝台のカーテンをほんのちょっと開けられただけで、とんでもない騒ぎになることが分かっているのに、やっちゃう。

 五月さんがおっしゃってました。

「“そんなところ見られたら、どうなるか分かってんの!”っていうところで、やりたがる」って。

 襖の向こうに行きたがる人と手前にいる人、襖の向こう側と手前側、どっち側の人間になるのか。人生は2通りであります。

 それにしても、あられもない姿を見て「こんなところで何してるの」って、見りゃ分かるでしょうに。

 ここで皆さん、当然、疑問に思いますよね。ふだん、襖の向こう側にいるタイプの人間が、「こんなところで……!」の男女を目撃したときは、どうなるのか。なんて言うのか。

 これはね……何も言わない。パッと見た瞬間、「失礼」って言いながらスッと襖を閉める。野暮なことは聞かない。

 もう一つ、大人向けの一首を。

 

ちちははの交わりを見し十歳の
われは極光放ちたりけむ
(水原紫苑)

 

 ……なんの説明もいたしません。皆さんのご想像にお任せいたします。たとえ意味が分からなくても、なんとなく味わいがあります。

 では最後に、そんな一首をご紹介しましょう。誠に言葉とは並べ方次第で鮮やかに情景を描きだせる道具だと気づかされます。まるでサスペンスドラマのワンシーンのような。

 

雨の県道あるいてゆけば
なんでしょう
ぶちまけられてこれはのり弁
(斉藤斎藤)

 

 雨が降っている県道を歩いていたら、異様なものを見た。「なんだ、これは?」と見たら、雨に濡れたご飯粒がぶちまけられてる。よく見たら、のり弁だった。

「誰かが、ここで、のり弁をぶちまけた。いったい誰が?」

 サスペンスドラマの始まりを告げるような情景。

 気になりませんか? どんなドラマが待っているのか。人が倒れているのでもない、激突した車の残骸があるわけでもない。“雨の県道にぶちまけられた、のり弁”というのが強烈なインパクトで迫ってくる。

 なぜ、こんなところにのり弁が?

 そう思った瞬間、この歌人の術中にはまっているのではないか。まさにサスペンスとしての短歌。

 今回は、短歌の宴を催してみました。皆さん、短歌の面白さを味わっていただけましたでしょうか。

「これだったらオレもできる」

 という気になりませんか。

 終活の嗜みとして、さっそく皆さんも一首つくってみましょうや!

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武田鉄矢(たけだ・てつや)
1949年生まれ、福岡県出身。72年、フォークグループ『海援隊』でデビュー。翌年『母に捧げるバラード』が大ヒット。日本レコード大賞企画賞受賞。ドラマ『3年B組金八先生』(TBS系)など出演作多数。