■社会インフラとしての自動販売機の未来
このまま、自動販売機は街から姿を消していくのだろうか。
「少なくとも人口の減少と物価の高騰は避けられず、自販機の数は、今後も減っていくでしょう。オフィスや商業施設など、自販機そのものに利便性がある場所でない限り、ただ飲み物を売るだけの自販機は厳しくなると思います」(石田氏)
生き残るためには、自販機にも付加価値が求められる時代に突入したという。
「たとえば最近では、生搾りオレンジジュースの自販機が増えています。自販機の一部が透明になっていて、目の前でオレンジが搾られていく様子を見ることができる。商品だけではなく、その“ライブ感”まで楽しめるんです」(前同)
ほかにも、AIを搭載して利用者に商品を提案する自動販売機や、自動運転技術と組み合わせ、自ら移動する自販機の実証実験も進んでいるそうだ。
「災害時に飲料を提供できる救援型の自販機や、熱中症対策、防犯カメラを備えた自販機も登場しています。これからは、単に商品を売る機械ではなく、人々の生活を支える“社会インフラ”としての役割も強くなっていくでしょう」(同)
ただモノを買う機械から、暮らしを支える存在へ。数を減らしても、自販機は姿を変えながら、世界に誇る日本の暮らしを映し続けるだろう。
石田健三郎(いしだ・けんざぶろう)
1987年、東京都生まれ。会社員として働く傍ら、自動販売機を追い続ける“自動販売機マニア”。これまでに撮影した自販機の写真は1万枚以上。『マツコの知らない世界』(TBS系)など各種メディアへの出演やSNSを通じ、自販機の魅力を発信している。2026年2月には著書『自動販売機マニア!』(イカロス出版)を刊行。