ポケモンカードゲーム30周年を記念した新商品「30th CELEBRATION」が、発売直後から大きな盛り上がりを見せている。

 その熱狂を警戒したのか、メルカリは発売前日の9月15日、「発売直後のマーケットプレイス内での混乱を回避し、取引の安全性を確保するため」として、未開封の拡張パック「30th CELEBRATION」など対象商品の出品を9月16日から一時禁止する異例の対応を発表。開封済みのシングルカードについては出品可能とした。

 ところが発売から間もなく、そのシングルカード市場で別方向の“カオス”が広がり始めた。象徴的なのが、復刻された人気カード「リザードン」と「ルギア」だ。

 まず話題になったのがリザードン。今回の復刻版では、通常より赤みが強く見える個体を「赤艶」と呼ぶ動きが広がり、メルカリにも「赤艶」「濃赤艶」などをうたった出品が続々と登場。なかには5万円を超える価格を付けたものや、「赤艶の出品数の増加及び赤色の濃さによる金額の相場」を考慮して価格を変更したと説明する出品まで確認できる。

 そして、似たような動きはルギアにも波及。青みが強く見える個体を「青艶」、さらにカード表面の星形ホログラムが偶然ルギアの開いた口元に重なった個体を「星食い」と呼ぶ動きまで現れた。

 SNSでは、《青艶とか星食いとかの話が広がりつつあって、ついつい見比べてしまいました》《星食いルギアちょっと欲しい》など、個体差を楽しむ声がある一方、《赤艶だの青艶だのもう何でもあり》《なんでもかんでもエラー扱いして高く売ろうとするのやめてほしい》と、次々に生まれる“プレミア扱い”に冷ややかな反応も見られる。

 もちろん、色味やホログラムの位置に魅力を感じ、特定の個体を集めるのはコレクターの楽しみ方のひとつだ。しかし、少なくともポケモンカード公式が今回の「赤艶」「青艶」「星食い」を、特別なレアリティや公式バリエーションとして発表した事実は確認できない。

 それでも、誰かが名前を付ければ“特別な個体”になり、それが価格にも反映されていく。さらには、わずかな印刷のズレや色味の違いを「エラーカード」とうたう出品まで現れている。

 “普通とはちょっと違う”を見つけ、名前を付け、希少価値に変える――。30周年というお祭りの裏側で、カードそのものだけでなく、「価値の作り方」までマネーゲーム化しているのだ。