■ドーパミンを渇望し暴走を始める現代人
ところがその文明は、じつは「諸刃の剣」だったのです。探索したり、努力をせずとも報酬が手に入るように、逆に人間を怠惰な動物に退化させてしまいます。(中略)これではドーパミンが人間を駆り立てて便利で快適な世の中をつくってきたのに、皮肉にもその行き着く先はドーパミンがつくられることのない世の中だったといえるでしょう(同)
本書にはこうありますが、知らず知らずのうちに、私たちは「やったぜ」が出にくい世界を生きている。それでも脳は「やったぜ」の快楽物質・ドーパミンを渇望し続けます。その結果、どうなるのか? ドーパミンが暴走を始めます。
たとえば食に関しては、「おいしい」とテレビや雑誌で話題になると、すぐに行列をつくって食べないと気がすまなくなります。むしろ行列に並ばないと、食べたときにドーパミンが出ないようになるでしょう(同)
食べ物だけじゃありません。例えば人から物や金を盗んで「やったぜ」と快感を覚える。すると、脳の中でドーパミンが盛んに「もっと、やろうぜ」と呟いてくる。そうやって悪の方向に誘導されてしまう。
こうした脳の活動というのは、そのほとんどが潜在意識の下で行われています。私たちが意識できる心というのは、脳の活動のほんの一部にすぎません。ですから当然のことですが、私たちは脳の活動をコントロールすることはできないわけです(同)
潜在意識に任せて行動していると、悪いドーパミンの暴走に乗ってしまうことになる。この“無意識”というのが厄介なんですね。
唯一、できる方法は「無意識のうちに行われている身体の活動を意識化してコントロールすること」だそうです。
呼吸すること、姿勢を正しくすること、食べること、動くこと、人に近づくこと、人に触れることなど、ふだん無意識にやっている日常の生活を見直してみるだけでいいと、著者はおっしゃります。
無意識に動かしている体に意識を向けることで、“無意識”に注意すること。
私たちは当たり前のように「心が先にあって、体は心の命令に従って動く」と考えていますが、実は、ほとんど気づかずに体を動かしていることが多いものです。
その証拠に意識しなくても息はするし、寒ければくしゃみもするし、眠ければあくびもする。体が心より先に動いている。つまり、体が私たちを動かしている。
心理学の有名な言葉があります。
「悲しいから泣くのではない、泣くから悲しくなるのだ」
常識的な考え方では「悲しい」という感情を感じると「涙を流す」という身体反応が表れると思いがちですが、実は、その逆だというんですね。体が先にきて、あとから心がついてくる。
このように、私たちは体から動かされていることがある。それゆえに私たちは老いも若きも、今こそ体と相談しながら、語り合いながら生きていくという知恵をつけないといけないんですね。
心身の不調を抱える人が増えるなか、身体心理学(健康心理学)の分野に注目が集まっている。本書は腸・皮膚・筋肉に特化して、身体が持つ無意識のうちに働く治癒力を科学的知見から明らかにする。著・山口創、さくら舎

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武田鉄矢(たけだ・てつや)
1949年生まれ、福岡県出身。72年、フォークグループ『海援隊』でデビュー。翌年『母に捧げるバラード』が大ヒット。日本レコード大賞企画賞受賞。ドラマ『3年B組金八先生』(TBS系)など出演作多数。