■『VIVANT』が問題視される背景に「地上波ドラマの限界地点」

 まず鎮目氏が挙げるのは、「暴力描写」と「残酷描写」の違いだ。

「昔からバラエティの暴力シーンやお色気シーン、プロレス中継などは“子どもの成育によくない”として番組にクレームが来たものでした。今回はドラマという“フィクション”で、SNS上には、昔の刑事ものの方が火薬を使うなど激しかったといった声も見られますが、僕が見る限り、『VIVANT』第2シーズンは激しい暴力というよりも、心理的に追い込む拷問シーンや絵面での残酷描写が増えたかなと感じます。どうしても大規模な本格アクションには限界があるので、そうした部分で“ハラハラドキドキ”を演出したいのでしょう。

 ただし銃撃戦そのものは“他人事”として捉えられても、そうした描写は嫌な記憶として青少年の脳裏に焼きつくという考え方はある。というのも、かつては子どもの発達上の心理に気をつける認識は薄かったのですが、近年はかなり重視されます。そのため、実際の子ども以上に“子どもが見る”ことを前提とした大人のジャッジが厳しくなっている、という事情はありそうです」

 背景には、地上波ドラマとしての番組作りが「放送時間に縛られる」ことの難しさがあるようだ。

「いくら見逃し・配信前提だとしても、リアルタイムで放送される以上、テレビマンは“つけたら見られてしまう”ことを気にしないといけません。どうしても地上波はオープン性が高いので、なるべくその時間帯に見ている人たちが不快にならないような番組作りをしなくてはならない。

 たとえば夕方~20時頃の食事時は、入れ歯や生理用品のCMはクレームがきますし、番組制作側は大量の害虫や排泄物など、生理的嫌悪感を呼び覚ますようなシーンがあるものは避けるものです。その意味で、『VIVANT』シーズン2は“気持ち悪さ”が問題視されているのではないでしょうか」(鎮目氏、以下同)

 Netflixなどで激しい暴力・残酷シーンを見慣れた大人の視聴者の中には、物足りなさを感じる人もいる。その一方で、「心理・拷問」方面の演出を強めれば、今度は子どもの成育に良くないのではないかという意見が出てくる――というジレンマだ。

「今は地上波だけで放送していても先細り。配信は必須ですし、世界ウケは悲願です。その際、ヒットする企画として指標にされるのが“ネトフリみたいな”ものなんです。

 本格的な激しさや、国際的に通用する、外国人が好むネタかどうかで、『VIVANT』がまさにそれを意識しているのは明白かと。しかし、“ネトフリでウケるもの”は、そもそも配信基準で作られていますよね。TBSとしては、地上波で許される上限と配信の下限を狙っているのだと考えられますが、結局第1シーズンの『VIVANT』が世界でウケなかったのも、中途半端だったからではないかと思いますね」