■「裏社会・暴力」作品は映画や配信で見る――視聴者がテレビに求めているものとの“乖離”
鎮目氏は、「アクションやスケール感で世界ウケを狙うなら、地上波ドラマと配信ドラマの制作は分けて考えたほうがいい」と提言する。
「子どもが見るという前提を取っ払わないと、結局、振り切れない。日本という島国で作られた地上波の二番煎じでは厳しい。強引に“一粒で二度おいしく”なんて欲張らず、ビジネスモデルを変えなきゃいけないということです。そもそも、地上波のスポンサーは時間枠を買って、番組制作費の大部分を出しているわけで、本来、そうやって作った番組を見逃しや配信で流すというのは虫がいい。
視聴者も裏社会や犯罪、暴力を描くような作品は映画や配信、地上波では推理ものやほのぼのしたヒューマンドラマを見るなど、目的別にメディアを使い分けますよね。そう考えると、地上波の制作側が“使い分け”ができていないなとも言えそうです。
せっかく『VIVANT』のようなものを作るなら、いっそ最初から地上波では放送しない座組があってもいいでしょう。今後は、地上波は地上波に適したものでヒットさせ、配信は配信に適したものでヒットをさせる、というドラマ作りができることを証明してほしいなと思います」
一部報道では、12月に映画版の公開も伝えられている『VIVANT』。果たして、『VIVANT』の世界的ヒットはあるのだろうか――。
鎮目博道
テレビプロデューサー。92年テレビ朝日入社。社会部記者、スーパーJチャンネル、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。ABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」初代プロデューサー。2019年独立。テレビ・動画制作、メディア評論など多方面で活動。著書に『アクセス、登録が劇的に増える!「動画制作」プロの仕掛け52』(日本実業出版社)『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)