2008年に小説家としてデビューして以来、柚木麻子は15年ものあいだ人気作家として支持を広げてきた。小説の執筆以外にも、TBS Podcastで「Y2K(2000年代)の文化を伝える」番組に出演し『Y2K新書』で軽妙なトークを披露するなど、その活躍は多岐にわたる。本サイトでは、柚木の最新作『オール・ノット』執筆の裏側に迫る。【第4回/全4回】

「そういう人がいっぱい増えて初めて平等」柚木さんの新作『オール・ノット』に登場する実亜子は同性愛者として描かれていた。なぜこのキャラクターを登場させたのか? そこには柚木さんが考える日本の同性婚への思いが詰まっていたーー。

ーー作家デビューして今年で15年になりますが、今後描いてみたい話や人物などもしありましたら教えて下さい。

 若くない人を描きたいですね。社会問題じゃないかも知れないけど、若くない夫婦の話や、60代の人を描きたいです。

 私も40歳を過ぎて、想像していたより体が動くことに衝撃を受けました。だから、60歳もまだ老人というには若すぎて、思ったより全然移動が可能で、思ったより頭も回るんじゃないかな、と。昔の60代とはイメージが違うというか、今の40代とあんまり変わらないみたいなところが面白いなと思っていて、だからこそ今の私が60代を描いてみたいなと考えてます。