■当たり前の権利があるか、ないか

ーー今作に登場する実亜子がラストでは60代として登場していました。作中では同性婚が実現した日本で実亜子が結婚してスピード離婚していましたよね。

 やっぱり“結婚しちゃダメ”っていうのはすごく辛いことじゃないですか? 実亜子は結婚っていう選択肢を国から与えられなくて、したいかしないかはともかく、その当たり前の権利がないことが孤独の元になってるんです。

 その権利があるか・ないかで見える景色って全然違うと思ってて、それを駆使するかどうかは別で、結婚したくないけど婚姻制度っていう権利がなんとなく自分にある状況と、その権利がそもそもない状況は全然違う。

 だけど、実亜子は婚姻で救われはしないだろうなと思いました。ただその婚姻を雑に使っていいと思っています。実亜子が同性婚を、特に人に感謝もせず雑に使うのが彼女にとってのハッピーエンドなんだなと思います。

柚木麻子/撮影・ピンズバNEWS編集部